- 会社で大きな決断をしなければならない
- 考えた企画を提案しなければならない
など、大きな決断から1企画のレベルまで何か決断決める時に使うべき分析が「死亡前死因分析」です。企画以外にも、明日の予定など小さなことにも応用できます。
特に自信過剰になりやすい方、楽観主義の方は常に意識したい手法です。
ぜひ理解しておきましょう。
死亡前死因分析とは(プレモータム分析)
名前の通り、死亡する直前に死亡する要因を分析するという事です。
つまり、企画や計画が失敗した時の状態をイメージして、その失敗要因は何だったかと考えることです。
交通安全講習などでいわれる、事故を予測して安全運転を心がけるといった考え方にも近いです。
ダニエル・カーネマン氏の行動心理学の名著「ファスト&スロー」にて自信過剰・楽観主義を治すための方法として下記の質問をすべきだと紹介しています。
いまが一年後だと想像してください。私たちは、さきほど決めた計画を実行しました。
引用元:ダニエル・カーネマン著「ファスト&スロー」
すると大失敗に終わりました。
どんなふうに失敗したのか、5 ~10分でその経過を簡単にまとめてください
大事な企画・計画・今後の人生を左右するような重大な決断をするときなどで、使いたい手法です。
1分間の動画で解説
死亡前死因分析は、なぜ必要なのか?
企画・計画など正解が分からない事柄において、冷静に客観的に穴を見つけ失敗を避けるために必要です。
死亡前死因分析が、事故に気を付けて安全運転するという事に近いなら大したことない分析だと思うかもしれません。
しかし、ビジネスや人生は安全運転と大きく違う点があります。
ビジネスや人生は、正解がないという点です。
横断歩道なら右見て左見て安全確認して渡ればほとんど安全です。
しかし、ビジネスは右見て左見れば成功する世界ではありません。
正解がないから、自分が考えたことが正しいと思ってしまいがちです。
そして、その場合のほとんどが、失敗して初めて自分の考えの誤りに気づきます。
- あの時、何でこんなことしたのだろうか
- あの時は馬鹿だった
- あの頃に戻ってやり直したら上手くいく
こんな風に思ったことがあると思います。
これを少しでも避けるために、失敗した時を具体的にイメージして、失敗する要因を考えます。もし失敗要因が実際に起こる確率が高いなら、事前に対処することで失敗を避けることが出来ます。
その為行動する前から、冷静に客観的に見るためには「死亡前死因分析」を行うことが大切です。
死亡前死因分析をイメージしてみる
例えば、自分が誰にも負けないというオムライスの料理を提供するお店を出すとします。
本当においしいオムライスで自信があります。今まで食べてもらった人は絶賛しています。
実際にお店を開いてオムライス屋さんを開業して1年後。閉店になってしまいました。
なぜでしょう?その失敗要因は何でしょう?
正解はありませんが、下記のようなことが考えられると思います。
- 美味しくても誰も知らないお店になってしまう。
- 美味しいが、食べ物にこだわりすぎて高すぎる値段になる。もしくは、採算が合わなくなる。
- 料理にこだわりすぎて、接客や内装が汚く顧客がつかない事がある
- 料理の作る時間が考慮されていなく、1日でさばける人数が少ない
他にどんなことが想像できるでしょうか?
客観的に見れば物凄く当たり前のことかも知れません。
しかし、自分の企画に愛着が湧けば湧くほど自信過剰になり、こういった肝心なところが見えなくなってしまいます。
死亡前死因分析を活用するためのコツ
今までの苦労・努力は無視すること
企画や計画は、考えるところまでに多大な時間や労力がかかります。
- こんなに頑張ったのだからやってみようよ
- ここまで考えたのだから、もうやってみようよ
といった意見が出てしまうと危険です。
サンクコスト効果といって一度使ってしまった労力・お金があるから無駄に出来ないと辞める事が出来なく事態に陥ります。
ここまで頑張ったからこそ、大きな失敗・損失に繋がらないように今見つめなおしましょう。
具体的に感情までをイメージする事
本当に失敗して後悔・悲しむ・まずい状況になったときの気持ちまでイメージすることが大切です。
ただ、失敗要因だけを洗い出してしまうと、大事な要因に目がいかずこの分析の意味がなくなってしまいます。失敗は結果と感情を伴って冷静に見ることが出来ます。なるべくそれに近い状況を作りだしましょう。
心のどこかにある些細な事、少し心配なところに目を向ける。
失敗する時は企画・計画を立てた段階で少し気になる事が、後々大きな失敗要因になる可能性があります。
少し気になっていることは、企画・計画を立てている間にいつの間にか忘れ気にしなくなってしまいます。
死亡前死因分析では、改めてこの小さな点に目を向けましょう。
オムライスの例では、「おいしければ客がつく!」と思い込んでおり「本当においしければ客がつくのか?」というところに目を背けてしまっています。
しかし、顧客がいなければ儲けることが出来ないので、少しでも気にはしているはずです。この部分を大切にしましょう。
成功するかしないかの因果関係を見つめなおす事
因果関係とは、それがなければ成り立たないという事。
飲食店は、売上を上げるために顧客がいないと成り立ちません。
つまり下記のような部分が重要です。
- 顧客に認知してもらう事
- 顧客が満足し、また来たいと思ってもらう事
- 誰かにオススメしたくなる事
当たり前だと思うかもしれませんが、これも企画・計画を立てているうちに、徐々に「おいしければ顧客がつく」「きれいなお店なら人は来る」から、「おいしくするには」・「きれいにするには」にこだわってしまって本質から離れてしまう事があります。
死亡前死因分析を行う時に、本質をしっかり見つめなおしましょう。
死亡前死因分析のデメリット・注意点
死亡前死因分析は、企画・計画に対して危険を洗い出す。いわば守り・保守的な考え方です。
過度にやりすぎてあれもこれも、不安だから解消しないとできない。ということでは、いつまでたっても実行できずタイミングを逃してしまうという事があり得ます。
出てきた失敗理由が、成功するための因果関係または、多大な影響を及ぼすものであれば、実行する前に打開策を見つけるべきです。
しかし、小さな失敗の可能性・成功にはさほど影響しない場合は、まずやってみるという事が大切です。
この場合は、失敗してもすぐに立ち戻れるよう、早く検証し、失敗するなら早く失敗できるようにしましょう。
さいごに
- 死亡前死因分析は、自信過剰・楽観主義からの失敗を防ぐためのもの
- 失敗した時を具体的にイメージする事
- 今までの努力・苦労は無視して、企画についてのみ考える事
- 死亡前死因分析は、守りの考え方。守りすぎは注意が必要。