マラソンでみんなが履いているナイキ。冬になればたくさんの人が着るヒートテック。身に着けるものは日々機能性が非常に高いものになってきています。今回はそんなアパレル業界についてご紹介します。
アパレル業界のポイント
絶対になくならない需要
服は、日本人ならば着ない人はいないものです。そのため、確実な需要があります。
また基本的には、着るたびに劣化してしまうため、定期的に買われる商品のため、継続性・持続性があります。
ニーズへの対応が難しい。
男女・子供大人高齢者・季節変動・流行りなど多種多様なニーズがあります。ブームが過ぎ去れば全く変われなくなる商品もあり、間違えると在庫の山となってしまう業界です。そのため、需要と供給のバランスをしっかり見極める必要があります。
また、需要が縮小するタイミングで売りつくしセールなどを行って少しでも在庫を減らそうとしているケースも多いです。
※セールを頻繁に行うと、セール待ちの人が増えてしまい結果、商品の値下げ合戦が始まってしまい自分で自分の首を絞める状況が散見されています。
アパレル企業の種類
アパレル業界は、服を作って売る業界です。服を売るまでには、基本的に下記のような流れを通ります。
- 企画
- 製造
- 卸(問屋)
- 小売
企画では、どんな用途でどんなデザインの服を作るか考えます。製造はデザインにそって服を作ります。作られた服を卸業者が買取り、小売店に売り渡します。
この流れの中で、すべてを同一企業が行うものから、それぞれ企業がつながっているものなどがあります。それによってデザイン性・収益性などが変わってきます。
アパレル業界の主な業態
SPA(製造小売業)モデル
企画と小売を1社が行っている企業のことを指します。製造や卸までも行っている企業のことも指します。
主な企業:ファーストリテイリング・コナカ・AOKIホールディングスなど
メリット
・価格を安く抑えられる
自社生産のため、卸業者に値段交渉などということがなくなるためコストを圧縮できます。そのため、高品質で低価格が実現できます。
・ニーズへのキャッチアップが早い
小売店の売上データなどが瞬時に企画側に伝わります。そのため、スピーディーに適切な量を適切なところへ出荷することができます。
デメリット
・在庫リスクがある
売れ残ったときの責任・損失は全てその企業が受けなければなりません
・膨大なノウハウが必要
企画から販売方法まで幅広いノウハウを持たないといけません。
仕入(小売)特化モデル
小売に特化した企業のことを指します。SPAモデルの企業と異なり、さまざまなアイテムを販売しています。
MD(マーチャンダイジング)とも呼ばれ品ぞろえ、提供価格・数量・売り場づくり・季節などの時期・店舗の場所などといったマーケティングに特化しています。
主な企業:しまむら、東京デリカ、ユナイテッドアローズなど
メリット
・季節、流行りにあった服を提供できる
流行りにあった服を仕入れてきて販売することができます。
・必要なノウハウが少なく専門的になれる
基本的にMDに特化して運営していけばよいため、資源を集中して行えます。
デメリット
・利益率が低い
小売業界は、メーカーから買った価格よりプラスして顧客に売るというモデルです。イメージしやすくすると、例えば料理はお店で食べるのに近いです。自炊した方が安いですよね。
・商品を改良することができない
商品を自社で作れないので、この服はここが悪いと思ったことがあっても、すぐに改良することができません。
アパレル業界の主なトピック
服にお金をかけなくなってきている
最近は、趣味嗜好が多様化し大衆ではやるようなファッションが少なくなってきています。ブランド志向の低下・所持品を少なくするミニマリストなどの増加により、定番の服を着まわすなどの傾向もあります。
ECサイトの台頭
ZOZOTOWNなどのECサイトが強くなってきており、Webマーケティング力が問われています。
また、メルカリなど消費者同士でのやり取り、定額で借り放題のサービスなど服を持たずにシェアしていく傾向が強くなっています。
スーツ離れ
サラリーマンも、クールビズや私服化などでスーツ自体の需要は落ちてきています。一方でビジネスカジュアルなどの需要は伸びていくでしょう。
ファッションテック化
〇〇テックという、何かをテクノロジー化したことを表す言葉がはやっていますが。ファッション業界にもテック化の波が訪れています。
ヒートテックなど機能性の高い服が定番化しつつありますが、さらに一歩上をいくテクノロジーが少しずつ増えています。 例えば、温度調節が可能なジャケットなど。スマートウォッチの次はスマートジャケットとも言われています。
売らない店舗化
店舗で服を実際に目で見て着てみて触れてもらい、購入はネットで行う「売らない店舗」が増えてきています。
ショップ店員は、売ることではなく顧客の体験と満足度を上げることに集中できるため、サービスの質が高まる可能性があります。また、店舗に在庫を置いておく必要がなくコストも抑えられます。
いかがでしょうか。アパレル自体の需要はなくならないですが、流行り廃りが多く大変な一方やりがいのある業界ともいえそうです。