・ちゃんと調査したはずなのに違った‥‥
・あの人、凄い先入観が強い
こんな事を思ったことはないでしょうか。
人間は先入観にとらわれる生き物です。特に確証バイアスは上手に付き合わないと、仕事で大きなミスにつながるどころか、信頼を失う恐れもあります。
今回はそんな「確証バイアス」についてご紹介します。また防ぐポイントもご紹介します。
確証バイアスとは
自分に都合の良い情報や、自分の考えに合う情報ばかりを集めてしまう事。
そして、自分にとって都合の悪い・考えにあっていない情報は無視してしまう事です。
テレビの政権を過度に批判するコメンテーターは、首相が何を言っても「信じられない」「内容が薄い」といった同じような発言をされますよね。
事実そうであるときもあると思いますが、確証バイアスに掛かっている可能性が非常に高いです。
参考になる、ある実験についてご紹介します。
確証バイアスの実験
心理学者のチャールズ・ローズ氏は、確証バイアスを証明するような実験をしています。
死刑賛成派と反対派を集めます。それぞれ、反対意見の人に対して猛烈な批判をするようなぐらい極端に分かれた、賛成派と反対派です。
それぞれに、まったく同じ2つのデータ書類を渡します。
一つは、賛成派の意見を裏付けるような精密なデータ。
もう一つは、反対派の意見を裏付けるような精密なデータです。
何方も論理的なデータであったそうです。
結果どうなったか。
賛成派は自分の意見が正しいとより信じ、反対派も反対の意見が正しかったとより信じ込むようになりました。
それぞれ、自分の意見の書類は「素晴らしい書類」と認め、自分の異なる書類は内容が薄いなどの評価で受け入れようとしませんでした。
まさに確証バイアスの典型例です。信じたことをより信じ込んでしまう。聞く耳を持たなくなってしまう状態です。
確証バイアスが危険なポイント
確証バイアスは、「信じ込んでしまい聞く耳を持たなくなってしまう」という点が非常に厄介です。
特に下記の点では厄介です。
- ビジネスで大きな決断をしないといけない時
- 人に対して評価をするとき
ビジネスで大きな決断をしないといけない時
- 起業
- 新規事業
- リスクを伴う投資
- リスクを伴う企画
など総じて「企画するもの」において確証バイアスは現れます。
「俺の考えた案は絶対いける。間違いない。」と言った自信。根拠のない自信を持つことは時には大切とも言われます。
しかし、その自信を裏付けるデータのみを集めてきて、企画を正当化しようとすると本当の足元にあるリアルなデータを見逃してしまうことに繋がります。
それが大抵、企画を失敗してしまう要因になります。
人に対して評価をするとき
人に対して評価と点数を付けるという評価ではなく、下記のような「犯人捜しをしてしまう」ようなときです。
- 家庭ゴミのルールを守らない人がいる時
守らなさそうな人で怪しい行動をしていたら、それが証拠と思い込み、犯人と決めつけてしまう。 - ゲームは、学力低下を招くかどうかという議論の時
ゲームをしていて成績がいい人がいても、信じず「ゲーム=悪」と思い込んでしまう。
このように、人間関係の小さな所でも、自分に都合の良い・自分の信じた内容に近い情報を集めて信じ込んでしまう事があります。
ただ思い込むだけならば問題ありません。
しかし、行動してSNSで不用意に叩いたり拡散したり、家族や周りの人に対して怒ったりしてしまっては信頼を大きく損なう原因になります。
確証バイアスを防ぐポイント
確証バイアスは「あるある」が非常に多いです。それだけ、切っても切れない人間の本質的な問題です。
このような心理効果は、アクセルを踏んだまま止まれなって事故を起こしてしまう状況に似ています。そのため、確証バイアスを防ぐのに重要なのは「ブレーキを踏む方法」を知ることです。
自分の信じたことで大きな決断するときは「確証バイアスかも?」と思うこと
何か強く信じたことで、行動しようと思った時には必ず「確証バイアスにはかかっていないだろうか」と自分に言い聞かせましょう。
些細な事に思えますが、非常に重要です。信じ込んでいるときは、自分に不都合な情報は無意識に避けてしまうので、他者に否定されても聞く耳を持てない可能性があります。
その為、自ら「確証バイアスにかかっているか」を確認するクセを付けることが大切です。
死亡前死因分析をする
下記の記事にて紹介していますが、「この企画を行って1年たちましたが、失敗に終わりました。さてその理由は何でしょう」というように失敗する前に失敗した時を想像し、失敗の理由を考えるという事です。
客観的にデータを取得しなおす大きなきっかけになる分析方法です。
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情報化時代の今、どんなデータも作れてしまう事を知る
今は本当に沢山データが溢れています。1年後景気が良くなるデータもあれば、悪くなるデータもあるでしょう。
色んなデータが色んな抽出方法によって、解釈によってどんなデータでも作れる時代です。
データ自体、常に正しい物とは限らないという事を意識していきましょう。
データ自体にも、集計方法・集計対象・時間さまざまな要因で誤差が生じているかもしれません。
様々な角度で確認しましょう。
さいごに
当記事ではかなり掘り下げましたが、「確証バイアス」という事自体は至って分かりやすい事象です。分かりやすい事象すぎて厄介です。
「確証バイアスにかかっていないか?」などの付箋を貼っておくなどして防止するという事も有効です。
また当記事をブックマークなどしておいて定期的に、振り返って頂くのも良いと思います。私がうれしいですし(笑)