通勤・通学・遊びに行くときあらゆるときに利用する電車。電車の事業を運営している鉄道会社は、電車以外にも幅広い事業展開を行っています。事業は「選択と集中」といった言葉があり、事業を広げすぎてはいけないという掟のようなものがありますが、鉄道業界は程よく事業展開をしているとおもいます。
当記事では、鉄道会社のビジネスモデルを知ることと、新規事業の展開のアイディアの1つとして参考にしていただければ幸いです。
鉄道会社の種類
鉄道事業法によって規定される鉄道会社は、200社強あります。 大きく分けると4種類あります。
JR系列
もともと国営企業だった「日本国有鉄道」から民営化した会社です。民営化する時に、北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州と地方ごとに分かれています。
新幹線などもあり日本を横断できてしまうぐらいの距離を運営しています。そのため、私鉄と比べ長距離に強い面があります。
- 主な路線:山手線、東海道線、中央線・東海道新幹線など
私鉄
名の通り私企業(民間企業)のみで運営されている鉄道会社です。JRより地域に特化しており、短距離に強い面を持っています。私企業のため、企業によってさまざまな強み・事業を持っています。
- 主な企業:東京メトロ、阪急電鉄など
- 主な路線:銀座線・丸ノ内線・日比谷線・京都線・宝塚線など
第3セクター
国や地方などの公共団体である第1セクターと、民間企業の第2セクターが協力して運営している鉄道会社です。主に地域開発を目的としています。
- 主な路線:ゆりかもめ、横浜シーサイドライン
鉄道会社の主な事業
鉄道とはモノやヒトが動くものです。ヒトが動くということはそこにビジネスが生まれ、お金が回ります。鉄道会社は、それらをセットで事業展開していることで収益を拡大しています。
つまり、本来のビジネスの強みを生かした事業展開を成功させている業界とも言えます。
鉄道事業
鉄道会社の本業と言える事業です。さらに鉄道事業には主に3つあります。
在来線、ローカル線系
山手線などが有名な在来線です。実は、事業を維持するのにも多額の費用が掛かるため、収益性の低い事業です。特に北海道など地方では赤字運営になっている路線もあります。
新幹線・特急系
新幹線や特急は、長距離を短時間で移動でき、特急料金など価格も高いため収益性の高い事業です。JR東海は、東海道新幹線があり新幹線に強い企業です。
貨物輸送系
名の通り、線路を使って荷物を運ぶ事業です。長距離広範囲をカバーしているJRの線路などを活用しています。
不動産事業・駅ナカ事業
駅ナカでは、駅構内の使っていない・不要になった場所を活用して、商業施設を運営しています。
またJR東日本ではルミネやアトレ・東急ではヒカリエ・東急百貨店などを運営しています。鉄道は通勤・通学で使う方も多いため、すぐにアクセスできる商業施設は立地としてもよく、収益に貢献しているようです。
さらには、ホテルなども運営している企業も多いです。
金融関連サービス
鉄道を使用する時、周辺の商業施設を使用する時お金を使います。特に通勤通学では定期を通じて毎日お金を使います。
便利に支払いができるようスイカ・パスモといった交通系ICでオートチャージ機能やクレジットカードなどを持たせ、金融や決済サービスを展開しています。 昨今では、鉄道会社ではないお店でも交通系ICカードでの支払いができるようになり、事業として拡大しています。
旅行代理店業
長距離で人を運べるなら、旅行でも鉄道を使用されるようになります。ホテルなども運営していることから、鉄道運賃とホテル代をセットにしたツアーを販売しています。
他事業をうまく活用した事業と言えます。
鉄道事業の今後
訪日客の増加で収益向上の可能性がある一方、地方などを中心に人口減の影響で岐路に立たされている企業もあります。そのため、鉄道事業以外の周辺事業を強化したり、海外での開発を目指そうという動きもあります。
鉄道事業から学べるポイント
鉄道会社は鉄道事業を、「電車の事業」と捉えるのではなく電車で解決している手段である「輸送の事業」と捉え、事業に広がりを持たせました。また、人を輸送する上でもっと快適に・楽しくさせるためにいろいろな取り組みをしています。
企業は、何の事業かをしっかり定義し、より顧客に満足させるための事業展開ができるとよいと思います。