従量課金制という言葉自体は、殆どの人に馴染みがあるのではないでしょうか。
水道料金・電気料金などの光熱費が代表的な例です。
ビジネスモデル的には、目新しいものではないですが、昨今「サブスクリプション」のビジネスモデルと合わせて注目されています。
そんな従量課金制(pay per use)について基本的な説明から、さまざまな例までご紹介していきます。
従量課金制(pay per use)のビジネスモデルとは
従量課金制は、使った分だけ費用が発生するビジネスモデルです。
言い方を変えると、利用量に応じて費用が変わるビジネスモデルです。
電気代のようにまったく使わないという事が出来れば0円ですし、沢山使えば1万円以上かかってしまうようなこともあるビジネスモデルです。
このビジネスモデルの一番の特徴は、使いたいときに使った分だけ費用が発生するという事です。
注目のサブスクリプションモデル(定額制)では、一切サービスを利用しない月があっても固定費を取られます。
月数百円程度であれば気にしない人も多いと思いますが、例えば新聞であれば4000円近くします。携帯電話も数千円かかります。
一切新聞を読まないのに、携帯も全く使わないのにこの金額では高く勿体ないでしょう。
しかし、従量課金制は使った分だけです。無駄が少なくなります。 従量課金制の使った分だけというのは、時間単位もあれば、使った量で価格が決まる場合もあります。
従量課金制の収益構造
従量課金制の1人当たりの収益構造は下記の通り
使用量(時間or数量) × 使用単価 - コスト = 利益
とても単純ですが、売上を上げるためには下記のようなものが求められます。
- ユーザー数を増やす
- 使用時間・回数を増やす
- 使用単価を上げる
一番のポイントは使用時間・回数です。
これらが多いという事は、ユーザーにとってなくてはならない商品・サービスという事。
必要性の高いサービスであれば、ユーザー数を増やすことも容易でしょう。
またインフラのようになってくると使用単価を上げることも、他商品・サービスと比べると難易度は下がります。
例えば、電気料金です。電気は今や無いと生きていけないと言えるほどのインフラになっています。このようなものは、ユーザー数=人口のようになります。
携帯電話も、日本は世界で高い水準と言われていますが、インフラのようになっていて同じようにユーザー数=人口に近い状況です。そうなると、価格が高くても売れてしまいます。※公共性が高い場合、実際の値上げは難しいですが…
このように従量課金制のポイントは、「使用時間・回数を増やす事」です。
使用時間・回数を増やすためには?
使用時間・回数を増やすためには、下記の3つが重要です。
- 商品・サービスの質を高める
- 1回あたりの料金は割安感を与える
- ついつい使ってしまう仕組みにする事
商品・サービスの質を高める
使用時間・回数が増えるのは、もっと使いたい!利用したい!と思うからです。
カラオケは1時間いくらのような時間制にしているところが多いです。
カラオケは、膨大な曲数を歌い放題、そして歌っていて気持ちが良い音響設備になっています。本当に楽しいサービスと言えます。
また行きたくなりますし、1時間・2時間何てあっという間です。1時間くらい多く歌いたくなってしまいます。同じように行くたびに延長するような方も多いのではないでしょうか。 このようにもっと使いたい・利用したいと思わせるサービス作りが大切です。
1回あたりの料金は割安感を与える
従量課金型は使う事をセーブ・節約することが可能です。
1回あたりの料金が高ければ使う事をためらい売上も落ち込む可能性があります。
ここのポイントは、「格安にするべき」ではありません。
割安感を与えるという事です。言語化すると、とても抽象的で分かりづらいと思いますが、1回これぐらいなら2~3回利用してみよう。1時間これぐらいなら2~3時間利用しよう。
このように1回あたりが割安であることが大切です。
利用回数が多いとザイオンス効果(単純接触効果)という心理効果を得られます。
ザイオンス効果というのは、人は接触する回数が多くなるほどその人・モノに対して印象が良くなっていくという効果です。
興味なかったゲームだけど、何回かやっていたら好きになった。
面白くないと思っていたドラマだったけど見ているうちに好きになった。
このようなものをザイオンス効果と呼びます。利用回数が多くなると、よりその商品・サービスの事をより好きになりファンになります。ファンになると超お得意様になるだけでなく、宣教師のように他者に薦めてもらうという事もできます。
ついつい使ってしまう仕組みにする事
1時間いくらといった駐車場があるのは、周りに娯楽施設・ショッピングセンターなど何か利用するものがあるところにあります。
気づいたら遊びすぎて予定より長く駐車場を利用してしまった。何てことはないでしょうか。
駐車場に限っては先に娯楽施設・ショッピングセンターがあるケースが多いと思いますが、利用時間が増えるのはついつい長く止めてしまう理由があるからです。
水道も電気もついつい多く利用してしまいます。
従量課金制のビジネスの例
運用型広告(Google・Facebook・Indeed)など
インターネットの広告の多くが、1回クリックされたらいくらと言った課金体系です。
これはPay Per Clickと呼ばれクリックされた回数分払う仕組みです。
これはまさに従量課金制です。
Google・Yahooの検索で表示されるリスティング広告から、Youtube・Facebookなどバナーが表示されるディスプレイ広告などがあります。
決まった予算、決まった集客単価に合わせるように効率的に出稿できる広告です。
メルカリ・BASEなどオンラインショップ
オンラインショップは、そのサイト・サービスを活用した時に、使った額の数%が使用料・利用料として運営元に支払われます。
これも一種の従量課金制と言えます。オンラインショプは、毎日・沢山使うわけではありません。
そのため、毎回利用する額に少しだけ利用料として取られる従量課金制のほうがあっていると言えるでしょう。 もし、毎日10回~100回と利用するサービスであれば、定額制の方が良いかもしれません。
従量課金制のデメリット。使いすぎ
従量課金制は、ユーザーにとって脅威となる場合があります。
それは、「使いすぎてしまった時」です。一昔前は、国際電話などで長話をしてしまって高額な料金を請求されたなんて話もありました。
従量課金制は、使った分だけ払えばよいのですが、使いすぎてしまった場合は脅威になります。特にインターネットなど通信料は日々膨大になってきているので、従量課金制は割に合わない場合もあります。
その為、よりユーザーが快適に安心して使えるために、インターネットプロバイダーや携帯電話の多くは定額制になっている場合があります。
この定額制が「サブスクリプション」です。
膨大な映画・雑誌・アニメ・ドラマなどが見放題で数百円~千円程度のものが多く、どんだけ見ても料金が変わらないというのはユーザーにとってとても利便性の高いビジネスモデルと言えます。
このように、ジャンルによっては従量課金制が合わず定額制に流れていくという例もあります。
まとめ
- 従量課金制は使いたいときに使った分だけ払う仕組み
- 従量課金制は、使ってもらう時間・量を増やすことが大切
- 使ってもらう回数が増えるとザイオンス効果を狙えファン獲得が期待できる