数年前に、違法残業問題があった際に問題視された「電通鬼十則」。
過酷な働き方と「鬼十則」という名前から元凶のように取り上げられ、大きく注目されました。
しかし、「鬼十則」があったからこそ、電通社は広告業界トップを維持していたと言えます。
確かに過激な表現ではありますが、受け取る人・解釈の仕方で大きく意味が変わります。
解釈によってはビジネスに役立つ重要な教訓が多く盛り込まれています。
働き方改革などで、労働環境が改善されつつある状況だからこそ、改めて振り返り良い部分を実践していただくと良いと思います。
今回は、鬼十則とは何なのか。そして役立たせる方法と注意点についてご紹介していきます。
また最後に、鬼をとった現代版として10掲載しています。ぜひご活用ください。
電通鬼十則とは
4代目社長である「吉田秀雄氏」が1951年に策定したものです。
この方はなんど40代前半という若さで社長になっています。当時広告業界は、新聞業界と比べて軽視されていました。広告業界をもっと盛り上げるという思いから策定されています。
文章だけを見ると、過激にも見えますが、吉田氏が社長に就任した1951年は戦後まもなくの頃。
貧しい日本では、毎日生きることで精いっぱいでした。そんな状況から生まれたための表現と言えます。
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
引用:電通鬼十則より
2. 仕事とは先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め。小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え。そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな。殺されても放すな、目的完遂までは。
6. 周囲を引きずり回せ。引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て。長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て。自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ。サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな。摩擦は進歩の母、積極の肥料だ。でないと君は卑屈未練になる。
こちらを読んでどのように感じましたでしょうか。 確かに過激とも言えます。
- やはり悪の現況!と思う方
そう感じることは否定しません。その面は0ではないと思います。
しかし、仕事とは何かを忘れているかもしれません。 - これこそ正義!重要と思う方
仕事の姿勢自体は良いと思います。
しかし、度が過ぎると危険です。周りの従業員は幸せに働いていますでしょうか。
では、鬼十足が悪くない理由、そして注意するべきポイントについて紹介していきます。
電通鬼十則は悪ではない?
そもそも鬼十則をどう解釈するかなので、悪も正義もありません。
ただ1つ言えることはビジネスの根幹として重要なことが書かれています。「絶対悪」ではありません。
特に起業したばかり、事業を立ち上げたばかりの時は非常に重要です。
否定していては成功する可能性はほぼありません。
※度が過ぎてはいけませんが…。
企業や事業立ち上げは、誰から仕事を与えてはくれません。自分で考え作るのです。
小さな仕事も大切ですが、小さな仕事・出来る仕事ばかりしていては事業の成功はしません。 挑戦しなければ個人も企業も成長はできません。
また本当に成功すると思って事業を立ち上げたなら、簡単に手放してはいけません。
アフィリエイター・ブロガーも脱落者と成功者の間には、何より継続性・あきらめない力が重要と言われています。
アフィリエイター・ブロガー・Youtuberは稼げないからと言って簡単に手放したらその時点で0になってしまいます。
もし、電通鬼十足が悪の権化!と思う方は、先輩たちが気づき上げたビジネスに乗っかってお金をもらっている「雇われ精神」が強いかもしれません。
鬼十則をしなくてもよいのは、経営陣・上層部・先輩たちが頑張ってきたからです。
従業員は、雇われているのだから気にする必要はないと思うかもしれません。
それ自体は否定しませんが、もし不況に陥った時まず切られてしまうのは、雇われ精神が強い人でしょう。
電通鬼十則の注意点
電通鬼十則は、重要ではない人がいる
裁量権があり、売上を上げるために自由に動ける人は鬼十則が重要です。
しかし裁量権がなく上司からの仕事をこなすような人には、適していないということです。
例えば、「取り組んだら放すな。殺されても放すな、目的完遂までは……。」裁量権と自由がある人は、妥協することが出来てしまうので、簡単に仕事を手放すべきではありません。
しかし、「資料を明日までに作ってほしい」と依頼された側のように、裁量権がなく仕事に自由がない人は、そもそも仕事を手放す事自体ができません。そんな中、目的完遂まで絶対に手放さないという事は、ただの奴隷としての悪用に過ぎません。
電通鬼十則は、他人に強要してはならない
鬼十則は、教訓として自分のビジネスに活かすことが出来たら、必ず成長することができるでしょう。
しかし、誰かに守らせようとすると、字面通りに受け止めてしまう場合があります。
教訓として「殺されても放すな」と、命令としての「殺されても放すな」では天と地の差があります。 絶対に誰かに強要してはいけません。有用だと思った人・成長したい人が自分のために使いましょう。
電通鬼十則を役立たせる方法
鬼十則をより現代的に変換してみました。
- 仕事は自ら作ろう。本当にやるべき仕事はなんだろう?
- 仕事と指示待ちになってはいけない。先回りして動こう
- 成長できる大きな仕事に取り組もう。小さな仕事ばかりでは成長できない。
- 自分の実力では困難な仕事に取り組もう。出来る事ばかりでは成長できない。
- 目標は、簡単にあきらめてはいけない。成功する人は諦めない。
- 誰かの言いなりになるのは辞めよう。皆があなたについてくるようになろう。
- 長期の計画・夢・目標を持とう。そうすれば、工夫する事や努力することが楽になる。
- 自信を持とう。自信さえあれば成功は必ず近づく。
- 仕事は小さなことにも目を向けよう。隙を放置していると大きな事故につながるかもしれない。
- 意見の対立は恐れない事。意見の対立こそが、あなたや企業を成長させる。
一部補足していきます。
仕事は自ら作ろう。本当にやるべき仕事はなんだろう?
仕事とは利益を最大化する事が重要です。依頼された仕事は、上司などが考えた利益を高めるため仕事です。
しかし、もっと他に利益を高める方法があるかもしれません。本当にやるべき仕事に目を向けましょう。
勝手な行動は良くないかもしれませんが、仕事を見つけ提案することはできるでしょう。
自分の実力では困難な仕事に取り組もう。出来る事ばかりでは成長できない。
人は慣れた仕事・出来る仕事ばかり行ってしまう事があります。慣れた仕事の方が心理負担がないですし、成果も上げやすいです。
しかし、そればかりやっていると成長できません。世の中はIT化が進み、これからもどんどん新たなテクノロジー・新たなルールが出来ていきます。
今の自分では困難な仕事に取り組むことこそ、成長に繋がります。
誰かの言いなりになるのは辞めよう。皆があなたについてくるようになろう。
誰かの指示を待ち、誰かの言われた仕事をする環境では、精神が疲弊してしまいます。
自ら仕事を作り、自ら困難な仕事に取り組み成長し、皆があなたについていく。あなたの指示を待つ人が現れるように努力をした方が良いでしょう。
意見の対立は恐れない事。意見の対立こそが、あなたや企業を成長させる。
日本は共感の社会です。対立を避け、穏便に済ませてしまう事が多いです。
しかし、本当に正しいと思ったこと・本当にすべきだと思ったことは、対立を恐れずしっかり意見を述べましょう。
対立をしなさい。という事ではありません。対立を恐れて意見を言わないことが問題です。
さいごに
いかがでしょうか。鬼十則のポイントをご理解いただけたでしょうか。
解釈の仕方によっては本当に使える・大切な教訓なので、是非覚えて使っていきましょう。