営業スキル

法人営業での顧客ランクの付け方と、上手に使いこなす重要な考え方とは

法人営業での顧客ランクの付け方と、上手に使いこなす重要な考え方とは
・営業をもっと効率化したい
・顧客対応に追われて大変
・顧客は一律同じ対応をしている

そんな悩みがある方は、顧客ランクを見直す、あるいは設定すると、よいかもしれません。

顧客ランクとは、名の通り、顧客をランク付け(重み付け)をすることです。

これで、優先すべき顧客を見極めて、効率よく売上を高めていくという事です。

ただし、この顧客ランクを付ける時には注意しなければならない事があります。

それは、営業の戦略と顧客ランクの付け方が一致しなければ、無意味になってしまうという事です。
今回は、顧客ランクについて、そして実用性の高い顧客ランクの付け方をご紹介します。

そもそも顧客ランクとは?

冒頭でもご紹介した通り、顧客に対してSランク、Bランクのようにランクを付け、効率的に売上を高める・維持するために使うものです。

ただし、法人向けサービス(BtoB)と、一般消費者向けサービス(BtoC)では顧客ランクの付け方・考え方・活用の仕方は大きく異なります。

本ページでは、法人向けサービスについて紹介していきますが、一般消費者向けサービスについても簡単にご紹介します。

法人向けサービスの顧客ランクの場合

既存の顧客に対し、営業サポートの量・効率を上げて利益を高める事が目的である場合が多いです。

法人向けサービスの場合は、1社当たり売上額が高い事が多く、企業ごとに売上も大きく変わる場合があります。

そういった時に、月1000万の仕事の依頼がある企業と、月1万の仕事の依頼がある企業を、同じようにサポートするというのは非常に効率が悪くなります。

また、売上見込み1億円の企業と、1000万円の企業では営業する時の体制も変えた方が良い場合もあります。

※顧客ごとに対応を変えるのは、ケースバイケースです。平等に接すべき場合は避けた方が良いかもしれません。

一般消費者向けサービスの顧客ランクの場合

主にマーケティング業務で、客単価を増やすため・来店頻度を増やすため・新規獲得する為などに使います。

法人向けサービスのように、ラーメン1杯提供するのに、常連客と初めての来店客で接客対応を差別化してしまうと、新規顧客のイメージがわるくなり売上が減少してしまうかもしれません。

その為、一般消費者向けサービスの場合は、営業対応の差別化ではなく、マーケティング施策の差別化を行います

具体的には、一度も来店したことがない顧客には、初回キャンペーンを提供したり、月に一定の額を購入してもらえたらプレゼントキャンペーンなどを行う事で売上を高めます。

RFM分析などで分析していきます。下記にて詳しく紹介しています。

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法人向けサービスで、顧客ランクを付ける方法

法人向けサービスで、顧客ランクを付ける方法

法人向けサービスで顧客ランクを付けるためには、以下の順番で行う事が大切です。

  • 顧客ランクを付ける仮説・目的を明確にする
  • 顧客ランクを付ける基準を考える
  • 顧客ランクを付けていく
  • 戦略に落とし込んで実行していく

顧客ランクを付ける仮説・目的を明確にする

基本的には、効率的に売上を高めるために顧客ランクを付けるという目的がありますが、「顧客ごとに対応を分けることで売上があがるのでは?」という仮説をもって行うべきものです。

一律で月額いくらという定額ビジネスなど、顧客ごとに対応を分けるべきではないサービスでは活用できない可能性があります。

顧客ランクは、設定するのに一定の労力がかかるため、顧客ランクを付けることが目的になってしまう可能性も考えられます。

改めて、どういう仮説があってどういう目的があるから顧客ランクを付けるのかを考えましょう。

顧客ランクを付ける基準を考える

顧客ランクを付ける基準は、平均のバラツキが多く、売上に影響するものにしましょう。

「売上ごとに、ランク付けしていけばいいのでしょ?」と思う方が多いと思います。
売上ごとにランク付けすることが、営業の効率化・売上向上を目指せるのであれば問題ありません。

しかし、必ずしも売上ごとにランク付けすることが良いとは限りません

学校のテストでレベル分け(顧客ランク付け)をして全員の点数を上げたいという場合

  • 平均のバラつきが多い場合
    80点取る人が10人、20点取る人が10人いるクラスの場合です。
    80点取る人には、応用やミスを減らす対策を行い、20点取る人は基本から対策することで、点数を伸ばす事で点数を伸ばすことが出来るでしょう。
  • 平均のバラつきが少ない場合
    52点取る人が10人、48点取る人が10人いるクラスの場合です。
    52点と、48点の人は恐らく1問程度の差です。この場合、別々に対策をする必要性は少ないでしょう。

このように顧客ランクが活きるのは、分ける基準となる数値のバラツキが高い時です。

売上にバラつきがない場合に、顧客ランクを付けたい場合は?

売上に囚われない指標を考えてみましょう。

基本的にどの事業でも、顧客によって異なる部分があるはずです。
売上に影響する指標であり、1人1人の顧客のバラつきが多いものを考えてみましょう。

例えば下記のような物

  • 客単価
    1回の購入金額、1人当たりの単価、基本の単価などが顧客によって違うという事はないでしょうか?
  • 利用頻度
    利用頻度が高い企業と、低い企業。仕事の依頼量の違いなどです。
  • 事業規模
    上場している企業かどうか、資本金の差、従業員数の差などです。
  • 年間予算
    売上に近いですが、年間で利用予定の予算額です。
  • 取引実績
    直近での売上は高いけれど半年の契約と、自社が苦しい時にも助けてもらった長年の企業などの違いです。

顧客ランクを付けていく

売上ごとに出した後、どのように分けていくかが難しい所です。
Sランク、Aランク、Bランクと付けていくときは、どこかに線引きをしなければなりません。

99万の売上と100万の売上でランクが変わってしまい、対応が変わるという事もあり得ます。
個人的には、それでも効率を高めるために明確に分けた方が良いと考えます。

基本的な分け方:パーセンテージ

ランクを分けるポイントは、売上の比率によって分けていく事をオススメします。
パレートの法則と言って、売上上位20%が売上全体の80%を占めるという法則があります。

さらに派生形では、2:6:2という比率で、上位・中位・下位と別れると言われています。

そこから、下記のように分けるとよいでしょう。

  • 売上上位20%を、Sランク
  • 売上中位60%を、Aランク
  • 売上下位20%を、Bランク

中位60%にも幅がある場合は、その中で半分に分ける、もしくは3分割に分けるという方法もあります。

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応用編:2段階ランク

基本ランクは、1つの基準を元にランク付けしました。
しかし、客単価が高いのに売上が低い場合や、客単価が低いのに売上が高い場合というケースも考えられます。

その場合は、2段階でランク付けします。売上に対しては売上比率からランク付けしていきます。 合わせて、客単価も上・中・下に分け、1~3と数字のランクを付けます。

下記のように分けていきます。

  • S1ランク・・・売上上位20%で、単価が高い
  • S3ランク・・・売上上位20%だが、客単価が低い(購入回数が多い)
  • B1ランク・・・売上下位20%だが、単価が高い(購入回数が極めて低い)
  • B3ランク・・・売上下位20%で、単価も低い(全体的に売上が低い)

このように分けることで、細かく状態を見ることが出来ます。

この場合、S3ランクに対しては、客単価を上げる方法を考えた方がよさそうです。
B1ランクは、購入回数が増える方法を考えた方がよさそうです。

このように2段階で分けることで、より戦略に結びつきやすくなります

マーケティングで使う顧客ランクの考え方を、取り入れた方法です。

※この考え方は、一般的な考え方で、使っている方も多いかもしれませんが、私独自の顧客ランクの付け方です。

戦略に落とし込んで実行していく

顧客ランクを分けられたら、具体的な戦略・実行施策を考えていきます。

繰り返しですが、顧客ランクの目的は、効率的に売上を高めていくためです。

そのためには、集中と選択が必要です。つまり、費用対効果が高い顧客層に重点的に対策を行い、その反対は、対応を必要最低限に抑える事が重要です。

先ほどの例を挙げていきましょう。

  • S1ランク・・・売上上位20%で、単価が高い
  • S3ランク・・・売上上位20%だが、客単価が低い(購入回数が多い)
  • B1ランク・・・売上下位20%だが、単価が高い(購入回数が極めて低い)

この中で、一番売上に貢献しているのはS1ランクです。S1ランクは、維持したいところです。

もし、維持が危ぶまれるビジネスであればS1ランクに注力すべきでしょう。しかし、既に満足のいくサービス提供が出来ていて、今すぐに売上定価の影響が低ければ、サービスの改善はしつつも、注力すべきポイントではありません。

S3ランクとB1ランクは、購入回数を増やすか、客単価を上げるかの施策に分かれます。
売上の高い、S3ランクを改善すると売上に影響するインパクトは大きいでしょう。

しかし、客単価アップは買う量を増やすか、価格を上げるという事になります。

現実的ではないビジネスであれば、B1の購入回数を増やす施策に注力した方が良いかもしれません。

ここは、ケースバイケースなので明確な答えは、当記事で示すことはできませんが、効率的に売上を高められる方法を検討していきましょう。

顧客ランクを付ける際の注意点

顧客ランクが低いからといってサービスの質を下げてはいけない

顧客ランクが低い企業に対して、高い企業より担当者の人数を減らすなど、一定の削減・差別化は必要でしょう。

しかし、ランクが異なれど、顧客は顧客です。根本的なサービスの質を落としてしまうと、企業の離脱を起こし、最悪企業のイメージが損なわれるという事もあります。
ランクを付けても、すべての顧客を大切に、良いサービスを提供していくという事は変えないようにしましょう。

顧客ランクの付け方自体を定期的に見直していく事が大切

顧客ランクを付けて、選択と集中を行うと、効率的に売上を高めていけるでしょう。

ただし、その必要があるときだけです。

顧客ランク至上主義になってしまい、Sランクにはこれ!Bランクにはこれ!と決めつけてしまうと、大事な変化に気づけなくなるかもしれません。

例えば、今回ご紹介した通り、売上のバラツキが少ない時に売上でランクを付けても、あまり意味がないです。
徐々に売上のバラツキが少なくなることがあれば、顧客ランクの付けたは変えた方が良いかもしれません。

合わせて、戦略も注力していた顧客ランクの対策が出来ていたら、他の顧客ランクの改善に目を向ける必要があります。
営業の色んなフレームワークに共通することですが、定期的に目的そのもの・決めたルールそのものを見直していきましょう

さいごに

顧客ランクの付け方を上手につけて対策していくと、少ない人数で売上を高めていく事ができます。

特に成長企業で人が足りている!という事は少ないと思いますので、是非顧客ランクを付けて効率的に売上向上を目指してみてくださいね。

  • この記事を書いた人

りゅうじ

元ギター講師のWebマーケティング・ディレクター、事業マネジメントや新規事業の立ち上げなどを行う。趣味はディズニー・映画・読書・テニス・野球・芸術鑑賞・寺社仏閣巡り・写真・その他いろいろ。将棋はアマ2段。もっと人生を楽しく充実させるために、情報を発信中。

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