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【ゲーム理論】囚人のジレンマとナッシュ均衡とは?ビジネスマン必須知識

【ゲーム理論】囚人のジレンマとナッシュ均衡とは?ビジネスマン必須知識

じゃんけんで、相手が最初に「グー」を出すことが多い場合、あなたは何を出すでしょうか。

確率的に「パー」でしょうか。裏を読んで「チョキ」でしょうか。あるいは、「グー」でしょうか。

ビジネスで誰かと利益を奪い合うような状況は、本質的にはゲームと同じです。

20世紀初頭の数学者、フォン・ノイマン氏と経済学書のオスカー・モルゲンシュテイン氏によって「ゲーム理論」というビジネスにおける考え方・フレームワークが誕生し・世に広まりました。 元々は数学の一分野でしたが、ビジネスにおいても重要な考え方として広まっています。

今回はそんなゲーム理論の中で、「囚人のジレンマ」「ナッシュ均衡」について図を多めに分かりやすくお伝えつぃます。

ビジネスマンにはもちろんの事、交渉など駆け引きが起るすべての人にも知っておきたい知識です。

ゲーム理論とは?

分かりやすい例では、携帯通信会社です。Docomo au SoftBank 楽天という4つの会社(プレイヤー)が、シェアを奪い合うゲームです。

何処か1企業が値下げ交渉を行うと、他3社は大きな影響を及ぼします。

このように、シェア争いになっているようなプレイヤーが存在する市場において、それぞれの行動が、他プレイヤーに影響を及ぼしながら利益を奪い合うというゲームの事を「ゲーム理論」と呼びます。

携帯通信会社のように、ゲーム理論は経営での戦略決めや、交渉での戦略を考える時に役立つフレームワークです。

経営や営業での交渉にも役立ちますし、小学生などのクラスの中での駆け引き・親子での駆け引きなど様々なシーンでゲーム理論は発生します。

その為、社会人に限定せず、すべての人が知っておきたい必須の知識と言えます。

さて、ゲーム理論の中でも代表的な「囚人のジレンマ」についてご紹介します。

囚人のジレンマとは?

囚人のジレンマとは?

ゲーム理論が成立している状況。

つまり各プレイヤーの選択が利益などに影響を及ぼす状況において、自分だけが得になる選択をしてしまうと、それ以外の選択を行った時より結果的に悪い状況に陥ってしまう状況の事囚人のジレンマと呼びます。

囚人のジレンマは、ある犯罪で捕まった2人の囚人(容疑者)の話

この2人は、手を組んだりしないよう意思疎通の出来ない環境にするため、別々の部屋で尋問を受けます。

尋問で聞かれるのは、本当に犯罪を起こしたのかどうかを、「自白する」か「自白しない」の二つの選択です。選択したことによって起きる状況は3つです。

  • 二人とも自白しない場合:無罪になる。
  • どちらか1人のみ自白した場合:自白した人は懲役2年で刑が軽くなる。自白しなかった人は懲役30年と刑が重くなる。
  • どちらも自白した場合:懲役5年

もしあなたが、この囚人の1人ならばどういう選択をしますか?

また、もう1人にはどういう選択をすると思いますか? もう1人は同じ犯罪者です。裏切る可能性も十分にあります。

お互いを信じ、お互いの利益を考えて自白しなければ、無罪になる「自白しない」という選択が理想です。

しかし、相手が自白するか、しないか分かりません。

もし自白された場合、懲役30年と自白した時の2年・5年のケースより重くなります。自白しないという事は非常にリスクが高く感じられます

相手も同様に考える可能性が高いの為、「自白しない」という選択肢はとても危険な選択になります。そのため、「自白する」という事が最善の選択に感じてしまいます

ですが、自白すると懲役が確定します。このように、自分にとって最善・最良の選択をしてしまうと、お互いに協力する時より悪い結果になってしまう事を「囚人のジレンマ」と呼びます。

囚人のジレンマから見える、ナッシュ均衡と、パレード最適とは?

パレード最適(パレード効率性)とは、主人のジレンマにおいてお互い「自白しない」という選択を取ることです。つまり、双方にとって最適・最大の利益を選んだ場合の状態です。

ナッシュ均衡とは、両者にとってベストではない選択でも、一度選択してしまうとそこから抜け出せなくなり均衡してしまう状況です。

囚人のジレンマでは、どちらかが「自白する」と片方が不利益になってしまう為、結果的にどちらも「自白してしまう」という状況です。

今回は囚人のジレンマという2つの選択肢を例にとりましたが、ビジネスにおいては様々な状況から、さまざまなナッシュ均衡が起きます。

囚人のジレンマの例:牛丼チェーン

2009年のリーマンショック後、急速なデフレスパイラル(価格競争)が起きました。

特に牛丼チェーンの牛丼(並盛)は、2020年4月現在では350円以上などですが、2013年時点では280円代でした。

十分においしい牛丼チェーンの牛丼は、一般的には価格以外での違いは分かりません。その為、利益を高めるためには、価格を維持するか、価格を下げてシェアを奪うかの選択になりました。

まさに、囚人のジレンマの「自白する」「自白しない」の選択に近しい状態です。

どこか1企業が、シェアを獲得するために値下げを行うと、他の企業も併せて値下げをしないとシェアを奪われます。

どの企業も値下げしないという選択を取ることが出来なかったため、1社が値下げ→他も値下げ→さらに1社が値下げ→他も値下げのスパイラルが発生し、一気に値段が落ちていきました。

ナッシュ均衡の例:海の家

浜辺は物凄く広くて長い事が多いのに、海の家は中央に寄っていることが多いです。不思議に感じたことはないでしょうか? これはナッシュ均衡が起きている例です。

それぞれ端っこで海水浴を楽しもうとしている人にとっては遠くて不便です。

通常であれば、離れたところに1つずつあった方が良いですよね。

2つ海の家があったとする場合、それぞれの海の家より外側の海水浴客は、一番近いほうの海の家に行きます。

しかし、真ん中にいる海水浴客はどちらに行けばよいでしょうか?
同じサービスの海の家であれば、少しでも近い方に行こうとします。

ナッシュ均衡:真ん中の人は少しでも近い方に行きたい

その為、少しでも片方の海の家より真ん中に近い方が、シェアを奪えます

真ん中によっても、その海の家より外側の海水浴客は、もう一つの海の家に行くことはほぼありえません。真ん中に近い方が有利なのです。

ナッシュ均衡:真ん中によった海の家のシェアが上がる

片方の海の家が中央に寄ってしまうと、もう一つの海の家は真ん中の海水浴客にシェアを奪われてしまいます。

その為、負けじともう片方は、さらに真ん中によります。その繰り返しが起きると、真ん中に並ぶようにくっ付いてしまうのです。

ナッシュ均衡:真ん中に海の家がよってしまう。

この状態を「ナッシュ均衡」と呼びます。海の家の遠くで海水浴を楽しんでいた人にとっては、不便になります。

どこで海水浴を楽しんでいる人でも楽しめるためには、もう少しそれぞれが離れるべきです。しかし、離れるとシェアを奪われかねない為、動くことが出来ません。

ナッシュ均衡を脱出するためには

プレイヤー全員が、協力をしてナッシュ均衡を脱出する選択をしなければなりません

例えば、私の大好きな東京ディズニーランドは、長く値上げを出来ていませんでした。しかし、同様のテーマパークであるUSJが値上げを行うと、東京ディズニーランドも合わせるように値上げを行うようになりました。

値上げをすると顧客からの反発が激しく、シェアを落としてしまうという危険性があります。しかし、値上げを行わずに利益を増やしていく事は難しいことです。

業界を盛り上げる。利益をしっかり出すためには、怖くてもそのゲーム(市場)のために一歩踏み出すことが大切です。

日本人は協調性が大事と言われ、「本当は良くないけれど皆に合わせる」という事が多くあります。大切なのはみんなが幸せになれるために、まずは自ら一歩踏み出すことです。

まとめ

  • 囚人のジレンマとは
    自分だけが得になる選択をしてしまうと、それ以外の選択を行った時より結果的に悪い状況に陥ってしまう状況の事
  • ナッシュ均衡とは
    両者にとってベストではない選択でも、一度選択してしまうとそこから抜け出せなくなり均衡してしまう状況

  • この記事を書いた人

りゅうじ

元ギター講師のWebマーケティング・ディレクター、事業マネジメントや新規事業の立ち上げなどを行う。趣味はディズニー・映画・読書・テニス・野球・芸術鑑賞・寺社仏閣巡り・写真・その他いろいろ。将棋はアマ2段。もっと人生を楽しく充実させるために、情報を発信中。

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