なんで、あの人はこんなに人気なの?
バンド・ミュージシャン・歌手などアーティストに対してはこんな意見をよく聞きます。
元ギター講師のバンドマン・シンガーソングライターから、マーケターになった私が、バンドマン視点とマーケティング視点から独自分析した、売れないバンド・ミュージシャンの理由を徹底解説します。
良く、売れるか売れないかは運だとかコネだとか言われます。
正直その一面はあると思います。 なぜならば、ほとんどのバンドマンは若く、マーケティングや企画の実戦経験が少ないからです。
戦略があれば分析ができますが、戦略がないので分析ができないため運になります。昔の天気のように、分析ができないので雨ごいなど神頼みになるのと近しいです。 しかし、マーケティング理論のように必ず理論は存在すると思います。
音楽活動していた、私について
私は、昔バンドで売れる事を目指していた時期があり、某音楽スクールのギター講師を務めるぐらいの腕ではありました。シンガーソングライターとして弾き語り活動を行っていたこともあります。
※近々作曲やギターノウハウの記事もアップしていく予定です。
当時一緒に活動していたミュージシャン仲間の中で、私含め全く売れない・売れなかった人とCDランキングなどで1桁に入るようなアーティスト(2020年3月時点で名前は公表できませんが…)を間近で見てきました。
現在私は会社員、新規事業立ち上げ・自社メディア・一部コンサルなどを行っています。主に経営企画・マーケティング業務が中心です。
そんな経験から、売れないバンドマンの理由を、バンドマン視点とマーケティング目線で解説していきます。金持ち父さんと貧乏父さんならぬ、「売れたアーティストと売れないアーティスト」です。
正直私は、なぜこの視点をバンドマン時代に気付かなかったのかと非常に悔しく思います。
バンドマン・ミュージシャンだけでなく、マーケティングの考えとしても非常に参考になると思います。
※他の記事より専門用語をかみ砕いている為、マーケティングの方からすると一部突っ込み入れたくなる表現もあるかもしれません。ご了承ください。
※また主観的な部分が多いのはご了承ください。
売れないバンドマン・ミュージシャンの思考
売れないバンドマン・ミュージシャンには共通する考えがあります。
1.音楽レベルが高ければ売れるという思い込み
この思い込みをしているアーティストは非常に多いです。
- あのアーティストは下手なのに売れてるとか
- 上手いあのバンドが売れないのはおかしい
という言葉が目立ちます。そして「自分たちは上手いから売れる」という思い込みに繋がります。私も一応ギター講師になるだけのレベルではあったのでまさに思ってました。ハズカシイ…。
まず自信があることは大事です。重要です。しかし、過信してはいけません。
経営・マーケティング目線では、この考え方はプロダクトアウトとも言います。
プロダクトアウトの悪い例は湯沸かし器です。「湯沸し器は高機能でなければならない!」という思い込みで機能が過剰に増えていきました。
しかし、顧客が求めているのはお湯を早く沸かせること。それを格安で提供した「ティファール」が一気にシェアを取りました。
テクノロジー的な観点でいえばティファールはレベルが低いと思います。しかし売れています。
音楽を聴く人の大多数は、技術だけで判断していません。技術だけで判断していたら例えばオペラ歌手の方が、アイドルより売れているでしょう。
2.兎に角活動!ライブ、ライブ、ライブ。
売れたアーティストは、自分の声をより多くの人に知ってもらうにはどうしたらよいか、考え行動していました。
売れないアーティストは、多くの人に届けるより、ライブを行うこと、活動することが目的になっていました。
売れていないバンド・ミュージシャンは、なぜ今そこのライブハウスに出演する必要があるのか戦略がありません。何となく駅前で路上ライブしてみるか。あのライブハウスに出よう。CD作ってみよう。などです。もちろん私もそうでした。
3.好きなバンドが神であり、近づこうとする。
殆どの方が憧れのアーティストがいます。その人を追いかけるように真似をしてしまいます。ただのコピーになってしまいます。そして場合によっては、プロであるかのような錯覚に陥ってしまう人もいます。
売れたアーティストは、自分の魅力を知っていて参考にはしても真似はしませんでした。
それでも売れている人はいる??
他にもありますが、大きくはこの3つです。
しかし「いやいや!それでも売れている人いるでしょ」と思う方も多いでしょう。
そうなんです。この3つの思考を持っていても売れることもあります。 売れたアーティストと売れないアーティストを比べると大きな違いは、偶然でも必然でも2つの視点を成功させている点にあります。
- ファンを増やす導線ができている
- 3つのポイントを抑えられている。
売れるということはファンが多いという事。ファンを増やすためにはAICEASのような顧客行動の流れがあります。
ファンを増やす導線ができている。~ファンの導線の作り方~
- ファンができるまでの導線 メンバー個の認知
- バンドアーティストとしての認知
- 曲の認知
- リピーター化
- ファン化
それぞれ飛ばしてファンになる方もいますが、多くはこの5つの段階を踏みます。曲が物凄く大衆受けし素晴らしく引き付けるような人は、1・2を飛ばす場合もあると思いますが、それは売れた中でも、もっと上の人だと思います。
知名度ほぼ0の状態のバンドの場合。
- バイト先の同僚や、同じ学校の人に自分を認知してもらう。
- 同僚や学校の友達に、バンド活動をしてることを伝え、バンドの認知をしてもらう。
- 音源または、ライブなどを通して曲を認知してもらう。
- 気に入ってもらえれば、再び曲を聴いたり、次回もライブに来たりしてもらえる。
- 応援してくれるファン化
ファンになった人は、第三者に勧めることで、認知度が上がり場合によってはファン化します。ここで売れるバンドと売れないバンドには大きな違いがあります。
売れないバンド・ミュージシャンの場合
認知の広がり方は遅く、自分の手の届く範囲が中心です。
遠くても対バンしたバンドのファンなど。ほとんどがそのバンドマンと間接的にも面識がある人です。また、面識が近いため付き合いなどでライブに来るのでファン化はなかなかしません。
売れるバンド・ミュージシャンの場合
認知の広がり方が早いか、質が高いです。
広がり方が早い場合は、そのバンドマンが知らない人にも認知してもらえるような行動をします。例えば、一昔前では初音ミクで話題の「ボカロ」曲をカバーして動画を上げるなどです。今ではYoutubeでカバー曲・アレンジ曲を上げるなどです。
質が高いというのは、インフルエンサー力・広める力が強い人への認知を行います。
これは、例えばYoutubeで動画を上げたらインフルエンサーが拡散した。とか、路上ライブやオーディションで音楽関係者がファンになるなどです。
インフルエンサー力が強い人に目を付けられると即時性があり認知度が上がります。 音楽関係者がファンになると、事務所に勧誘され、事務所がタイアップなど認知度を上げるためのマーケティングをしてもらえます。
路上ライブで売れる=運というのは、まさにこれで偶然そこに通るか通らないかです。音楽事務所の近くで路上ライブやったら確率は上がるかもしれませんね。
ポイント:売れないバンドもYoutubeなどをやっていないわけではない。
売れないアーティストは、このファンになるまでの流れ。個を知りバンドを知り曲を知りの順番を無視し、いきなり自分のオリジナル曲を公開したりします。 あるいは動画を上げっぱなしで放置したりします。
知らない人の知らないバンドの知らない曲を、人生の4分間で聞くことは殆どありません。
売れるアーティストは、まずこの認知度を高めます。
例えば、曲のカバーあるいは、歌わず面白動画などで認知してもらったあとに歌い始めるなどします。
極端な例ですが、俳優や某アイドルの卒業メンバーがバンドなどを行って成功している例があります。それは、曲の前に個の知名度が抜群に高かったためです。
ここまでで、ファンになるための導線はお伝えしました。実際には認知されてもファンになる確率が低いです。認知度を高めファンになる確率を上げるためには次の3つのポイントが重要です。
売れないバンドにはない、認知度を高めるための3つのポイント
1)時流に乗っているか
エンタメ系には流行りがあります。私も知らない時代では「ホコ天」。一昔前はニコニコ動画でのボカロなど。今ではYoutuberなど。他にもインスタ・tiktokなどあります。
Youtuberの時代に、ホコ天=歩行者天国でブレイクするバンドは恐らくいないと思います。今一番時流に乗っているものに、早く乗ることで知名度が上がりやすくなります。
売れないバンドは、Youtubeなども行いますが、それ以上に路上ライブや地元のライブハウスでのライブ活動に専念します。
否定するわけではありませんが、
- 路上ライブは、いわばチラシ配り。
- 地元でのライブはセミナー。
- YoutuberはテレビCMなど
のような違いです。 しかも、基本的にどれも無料です。ならば効率的に認知度が上がるところで活動をした方が早いです。
売れたアーティストは、時流に完璧に乗っていました。
ライブは一切やらずネットだけで知名度を上げたのち、ライブを行うようになります。
2) 独自性があるか
ここまでPR方法が中心でしたが、独自性があるかが重要です。一体そのミュージシャン・バンドのコンセプト、他の人たちと何が違うのでしょうか。
例えばBABYMETALは、アイドルとメタルを融合させたグループ。AKB48も会いに行けるアイドル。1文で説明ができてしまいます。
決して1文で説明できないといけないというわけではありません。しかし、〇〇と言えば、〇〇のバンドというような独自性が必要です。ここでは、単純に声が良い、圧倒的に歌がうまいなどもあります。ただし、独自性だけがあってもダメで、今までのポイントを抑える必要があります。
3)聞く価値・便益(ベネフィット)があるか
例えば、アイドルとメタルを融合させたグループという独自性があっても、聞く価値がなければファンは増えません。
歌がうまくても演奏技術が高くても、聞く価値がなければファンは増えません。
その音楽を聴くと、元気になれる。励まされる。心地が良い。など何か価値があるから、その人生の4分間でもその音楽にささげます。
もし今売れるバンド・ミュージシャンを目指している方ならば、そのバンド・曲の価値はなんでしょう。実際に褒めてもらった方からヒアリングするのもよいでしょう。
もしなければ、見つけていく必要があります。そのバンドで聞き手にどうなってもらいたいのかを考えるとよいかもしれません。
それぞれのポイントが、はまっている例
私の主観ですがBABYMETALを例に挙げると、アイドルとメタルを融合させたグループという独自性があり、超絶技巧の曲とかわいらしい声で聴いていると元気が出ます。またアイドルという時流に乗っています。
メタルは日本では馴染みがないので日本より海外進出を中心に行って、実績を作ったうえで改めて日本でも展開するという戦略だと思います。また、バックバンドはバンド好きには有名な人たちがついており、超絶技巧で圧倒されます。それぞれのマーケティングが巧みに戦略化されています。
最後に
このように、売れる・売れないバンドの違いは、技術云々だけでなくこのようなポイントそれぞれを行っているかいないかが大きく左右されます。ただし、やはり音楽は感覚的な業界です。必ずこのポイントを押さえれば成功すわけではありません。しかし、成功する確率は高くなると思います。
因みに、本当に私は、バンドをやっている知りたかった内容です。物凄く後悔しています。 もちろん全てしっかり対応していても、売れていたかは分かりませんが、確実に当時の状況よりは進むことができたと思います。
今バンドやアーティストで売れずに悩んでいる人がいたら、Twitterでダイレクトメッセージを受け付けていますので、ご質問等頂ければ可能な限りお返事いたします。 マーケティング・バンド経験者の観点からできる限りのアドバイスをいたします。
バンド・ミュージシャンの方で最後まで読んでくださった方もそうでない方も、ありがとうございました。これからの活躍を期待しています。