守破離という言葉をご存じでしょうか。
簡単に言うと何かのスキルを身に付ける時。始める時は3つの順番で会得しようという事です。
- 守:型・テンプレにそって守る事
- 破:型・テンプレをアレンジしてみる事。
- 離:型・テンプレから離れて別の施策を試す事
武道や茶道といった「道」の付くものから、ビジネス・スポーツ・アフィリエイト・勉強など、ありとあらゆるものに通ずる重要な考え方です。
今回は、守破離の起源からビジネスの実戦の例を踏まえてご紹介していきます。
守破離とは
規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな
WIKIより引用
茶道で有名な「千利休」の訓をまとめた「利休道歌」にある、この1節を引用したと言われています。
このような茶道・武道といった「道」の付く日本古来のものにおいて、一人前になるための修行の過程を3段階に分けたものです。
守る・破る・離れるこの3段階で進めていく事により、その物事において一人前になり、且つ自分のオリジナリティを生み出すことが出来ます。
守:型・テンプレにそって守る事
物事を会得する時は、まず型・テンプレにそって行うべきという事です。
いきなり、自分のスタイルを行おうとすると大抵失敗してしまいます。
それぞれの技術は、沢山の人が苦戦し考え改善してきた知識・経験が「型」になっています。
その型通り守ることが速く技術を会得する近道になります。
なぜなら先人たちの苦しんできた過程・知識・経験を一足飛びで会得することが出来るからです。
例えば、初めて文字や漢字を覚える時、お手本の文字をなぞって覚えた記憶はないでしょうか。 スポーツでいえば、コーチに教えてもらったように行ってみるなどです。
ビジネスにおいても、マニュアル・営業においては話すトークスクリプトなど型があります。
芸術的なデザインや音楽においても、テンプレの構図や、クラシックで有名なカノンのコード進行(伴奏)に乗せて作曲してみるなど型があります。
新規事業立ち上げにおいても、既にある市場に参入する場合は失敗する可能性の低い「型」「方法」というものがあります。
このように何においても「型」というものがあります。まずは守ることから始めましょう。
「型」を守ることが出来るようになると、「1人前」になる事ができます。
破:型・テンプレをアレンジしてみる事。
型通りにできるようになったら、自分のやりやすい方法。より良くするために改善・改良をします。
つまり型・テンプレを破るということです。
型というのは、過去から現在においての王道の失敗しない方法です。
しかし、未来にはどうなるかわかりません。またその人・環境・状況によっては最適ではないかもしれません。
型通りにやってみて、悪い点・良い点を分析し改善をすることで、より技術のレベルを引き上げます。
離:型・テンプレから離れて別の施策を試す事
その方とは離れることです。
型とは全く関係ない事をしてみる。あるいは、まったく異なる考え方の型を取り入れてみるなど。
例えば、仕事で型通りに進めていたものを、パソコンで自動化してしまう。
ロックなど西洋の音楽に、三味線など和の物を入れてしまうなど。今までにない施策を試してみましょう。
守破離こそ日本人の最大の強み
守破離つまり、あるものを改良しオリジナリティを出すことは日本の一番の強みとも言えます。
例えば、ラーメンは本来の中国のものと、日本のラーメンは全く異なります。
「抹茶アイス」などはアイスという西洋の物に対して抹茶という和の要素を入れています。今や世界で抹茶スイーツは人気です。
その他にも、日本企業であるSONYはラジカセという家において音楽を聴くという機械を小さくアレンジすることで、外でも聞くことが出来る音楽機器(ウォークマン)を開発しました。
日本は古来より、中国から伝わったもの・世界から伝わったものを改良することでイノベーションを起こし、より良いものを開発し、とくには世界からも称賛されるものを生み出しています。
このように、日本は守破離を行ってきたからこそ、ここまで発展できたといっても過言ではないでしょう。
守破離を行う時は、心構えが重要
守破離は概念としては難しくなく、誰でも覚えることが出来ると思います。
しかし、実践する・この流れを守ることが大変です。多くの人は、型を勉強せずいきなり自分流で初めてしまったり、型を知っていても守らないという事が多々あります。また型にはまってしまいすぎて、抜け出せないということもあります。
その為、守破離を守って実践するためには「心構え」が重要です。
- 守るときの心構え
型通りに行う事こそが、近道だと思う事。型通りに行わなければその分時間がかかる。 - 破るときの心構え
型通りに続けていても、成長はできない。改善し改良することが次のステップに繋がる - 離れるときの心構え
オリジナリティが出せないと、競合や他社が先に行ってしまう場合がある。
離れることが出来ない事こそ、リスクだと思う事
型を守るときのコツ
その型が本当に正しいのか不安になる事があります。その時には下記のような点を気を付けた方が良いでしょう。
- その型の根拠をしっかり理解してから守る
- その型を学ぶ人は信頼のおける人・情報から守る
破・離を行うコツ
オリジナリティや改良を行うためには、アイディアを出すことが大切です。
スキャンパー法といったアイデア出しのフレームワークがあります。
アイデア・方に対して
- 組み合わせたらどうか
- 型を、他の物に当てはめてみたらどうか
- 他の方を当てはめてみたらどうか
- 型を他の目的で用いてみたらどうか
- 型から一部を排除したり縮小したらどうか
などを問う事で方から外れてみるという事ができます。
詳しくは下記にて紹介しています。
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守破離を仕事で活かすための例・方法
- 守
上司の仕事のやり方・マニュアルを兎に角守る。マニュアル人間のように何も見なくてもマニュアル通りにできるように行う。 - 破
マニュアルから面倒だな。必要ないな。と思う部分は、思い切ってなくしてみる。もっとこうした方が良いと思ったことは、実際に試してみる。
ここでは、失敗しても問題ありません。改良するためには失敗はつきものです。ポイントは失敗してすぐ原因を考え改善することです。 - 離
自動化・マニュアル・上司の教えと異なる方法・或いはより進化した方法で進めてみる。現代は物凄いスピードで技術進化が行われています。会議はそもそもオンライン化にしてしまうなど。
さいごに
繰り返しですが守破離は、日本人の最大の強みです。みんなが必ず持ち得ているものです。
一方で、古い考え方だからなど決めつけてしまって守ることをおろそかにしてしまうと、何事も上手くいかなくなる可能性もあります。
守破離のポイントをしっかり身に付けて日々成長していきましょう。