知情意という言葉をご存じでしょうか。
夏目漱石氏・松下幸之助氏・渋沢栄一氏などを始めとする早々たる偉人がみな「知情意」の重要性について触れています。
知情意を知ることで、人間として成長するだけでなく、ビジネスなどにおいても役立たせることが出来ます。
今回はそんな知情意についてご紹介します。
知情意とは?
知情意とは、哲学者カントが提唱したとされています。
私たち人間の心の中には「知性」「感情」「意思」の3つの働き方があります。
この3つそれぞれバランスを保ち、向上させることによって人格形成や人間性を高めることに繋がるという事です。
人間性を高めるには頭でっかちになるのではなく、感情に振り回されるのではなく、善悪を見分け、物事を多角的にとらえ言葉や行動が大切です。
それでは1つずつ解説します。
知性とは?頭を使う事
- 知るという知識
- 理解力、分析や論理的に考えるといった賢さ
知識・思考といった知恵がないと、物事を理解し判断することが出来ません。
知は、本や学問などから学ぶことも可能ですが、経験を通して学ぶことも重要です。また学んだ事をアウトプットして自分の技として身に付けることが重要です。
知がないと騙される
強い意志や優しさ兼ね備えていても、知がなければ誰かに騙される可能性があります。
知がなければ、感情と意思だけで動くことになるので、成功に近づくことはできません。
騙されない為に、生き抜くためには知が大切です。
知がないと誤った正義を押し付けてしまう。
例えば経済・政治・昨今であればコロナの恐怖などについて、正しく理解しなければ個人の感情・意思だけで判断した正義を他人に押し付けてしまいます。
何を恐れるべきか、何が善なのか、何が悪なのか知があるからこそ正しく判断できます。
もし、感情にまかせて誰かを批判したくなった時は特に注意が必要です。
そのことについて知らないだけかもしれません。良く物事を色んな視点から見て考えましょう。
ビジネスにおいても、知は大切
ビジネスにおいて知は、売上を上げるために大切なのは言うまでもありません。
また、仕事において何が悪であり善なのか、何がプラスで・何がマイナスになるのかを知ることもまた知です。
ポイントは、知は暗記テストで満点を取ればよいというものではありません。
人間性を高めるための知識・賢さ・知恵をもっての知です。
情とは?感情など
- 優しさと言った感情
- 美しいものを美しいと感じる完成や感情
などです。
情は物事を円満します。情がなければ、他人との共感を得ることができません。
知だけある場合は、善悪が分かっても己だけが儲かればよいと、悪の道に進んでしまいます。また、環境破壊など自分たち(人間)のみが良ければ良いという考えになってしまいます。
知と情があってこそ、正しい心で正しい行いをすることが出来ます。
情を高めるためには、自分の心の動きを理解する事。そしてコントロールすることが大切です。
情は暴走に注意。情のコントロールが必要
感情というものは、時に暴走を引き起こします。突然の恋・怒り・悲しみ・恐怖によって冷静さを欠いてしまいます。
今までの歴史においても、人は悲しみや恐怖によって誤った選択をし不要な争いを繰り広げていきました。昨今においても、コロナという恐怖により兎に角誰かを批判してしまうなどを目にします。
情に流されないようにしましょう。
ビジネスにおいて情は重要
働く皆、上司も部下も関係なく感謝する気落ち、作業してもらえた感謝が大事です。
パワハラなども取り沙汰されています。
- 先輩だから偉い
- 上司だから偉い
- 上下関係は古いから上の人を敬わない
という事をせず、良いことをされたら感謝し、悲しいことがあったら一緒に悲しむといった共感をする情が大切です。
また、どんなに知があっても人は感情によって合理的な判断を書いてしまうという事があります。
自分の感情の動きを理解するには、下記の記事にて紹介した、心理学について知ることが大切です。
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意とは?意志など
生きるという事は、辛いコト・大変なことがたくさんあります。
そんな時にも、強い意志があれば乗り越えることが出来ます。
朝起きる時も、どうしてもやりたい楽しい!という事があればすぐに起きることが出来ると思います。
何もない日・やりたくない仕事がある朝は起きるのがとても辛いでしょう。 おきたいという意志があれば辛いことも乗り越えられます。
情をコントロールさせるのは意志
前章で情のコントロールは、心の動きを理解する事で可能とお伝えしましたが、意思でも可能です。
仕事において、提案する人と、提案する内容は必ず分けて考えなければなりません。
感情に任せて良い提案を拒否しては良い仕事ができません。
どんなに嫌いな人から提案が来ても冷静な心で見るためには、強い意志が必要です。
もちろん、無理する事ではありません。自分が乗り越えたいと思うのであれば強い意志が必要です。
意志が強ければ努力が出来る
人は上手くなりたい・成果を上げたい・身に付けたいという意思があるから努力ができます。
私がギター講師をしていた時の例ですが、Fコードに対して直ぐに乗り越える人と時間かかる人がいました。
Fコードは慣れなければ痛いし大変です。
絶対にギターを上達したいという気持ちがある人は、必死に練習し直ぐに身につくことが出来ます。そうではない人は、時間がかかります。
ましてや習わず、何となくモテたいといった軽い気持ちで始める人は挫折する人が非常に多いです。
意志だけではダメ。三位一体が重要
どんなに強い意志があっても、知や情がなければ独りよがりになってしまいます。
中には意志だけで成功する人もいると思いますが、ごくわずかだと思います。
ここまで、知・情・意の3つそれぞれ紹介してきましたが、何よりも大切なことはこの3つ共に向上していく事が大切です。
夏目漱石氏も、「草枕」という本のなかにこんな一説があります。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。
引用元:夏目漱石「草枕」
どれか1つだけでは、角が立ったり流されたり、窮屈になります。
物事が上手くいかない時は
物事がうまくいかないようなときは、この三位一体のどれかが欠けているかもしれません。
その人一人では、コントロールできないものはどうしたって上手くいきませんが、コントロールできる範囲。自分が影響を及ぼせる範囲で上手くいかないのであれば、知・情・意のどれかが欠けている可能性があります。
- その物事について知はありますか?調べていないものはありませんか?
- 感情に流されず、良い物を良いと感じる心で見ることが出来ていますか?
- 絶対やり遂げる・やり遂げたいという意思はありますか?
このように自分を問いてみてみてください。