

分かっているから大丈夫
このように、具体的なターゲット層が見えているのは、素晴らしいことです。
しかし更に必要なことは、そのターゲット層の中でも、もう1段階区別することで、より1人1人にあったマーケティング施策を行うことができます。
その為に必要なのが「RFM分析」です。
今回はその、内容とメリット・デメリットなどをお伝えします。
RFM分析とは?
RFM分析とは、顧客の購買状況に合わせて分析する方法です。
R・F・Mそれぞれの頭文字を取った3つの視点で顧客をグループ分けします。それぞれのグループに対して、マーケティングアプローチを変える事ができます。
- Recency:最後に購入した日
- Frequency:購入した頻度
- Monetary:今までの合計購入金額
なぜ、RFM分析が必要なのか
実際の顧客の購買行動を分析した施策を行わないと、想像的な施策に陥ってしまうためです。
例えば、マーケティングの基本として顧客ターゲットを明確にしているところが多いと思います。「〇〇髭剃りの商品のターゲットは、20以上の男性」のようなもの。
このターゲットの中でも全員が同じ行動をするわけではありません。
久しく買っていない人・頻繁に購入する人などが存在します。久しく買っていない人は、買わない理由があるのかもしれません。
頻繁に買っている人は、お得意様です。商品の魅力を伝えたとしても既に知っていることでしょう。
このように購買行動を元に分析することで、購買行動に合わせた現状の課題に対してアプローチを検討することができます。
Recency:最後に購入した日
最後に購入した日=最近購入した日は、何時かをベースに分析します。1週間以内、1か月前、3か月前などです。
商品やサービスによりますが、1週間前であればもう一度購入される可能性もあります。3か月前であれば、既に競合他社などを使用しているか、その商品自体のメリットがないなど考えられます。
最後に購入した日が、遠いほど顧客との関係性が薄れています。この層が多い場合は、商品・サービスの改善が必要かもしれません。
Frequency:購入した頻度・回数
その商品・サービスをどのぐらいの回数で購入されたかを元に分析します。
1回しか購入していない人。10回購入した人。100回以上購入している人などに分けられます。
回数が多いほど、お得意様・優良顧客です。
少ない人は、その商品に満足していないか、まだ買い始めたばかりかもしれません。1回でも多く買ってもらうためにはどうしたらよいか考えることが大切です。
Monetary:今までの合計購入金額
今までに、その商品に対していくら使っていただいたかを元に分析します。
金額が大きいほどお得意様・優良顧客と言えます。ただし、1回で大量買いしたのか、何度も買っているのかによって状況も異なります。
RFM分析をするためのデータの集め方
顧客管理ツールを駆使してデータを集めます。
具体的には実店舗とオンラインでは異なります。
- 実店舗の場合
ポイントカードなどを無料で提供して、レジで出してもらう度にデータを取得して集めます。 - オンラインの場合
Googleアナリティクスなどでデータを取得することも可能です。より専門的に集めたい場合は、CRMという顧客管理システムでデータを集めます。 - その他
O2O( Online to Offiline)またはOMO(Online Merges with Offiline )などと言われるオンラインとオフラインを融合したようなサービスがあります。
例えば、実店舗では展示だけで、購入はネット上で行うサービスです。最近増えてきています。このようなサービスでは、実店舗とオンラインを串刺しで分析できるようになるため、よりキメ細やかな分析ができます。
※ただし、これらの個人情報の取得は、内容により顧客が拒否反応を起こす場合もありますし、世界的にも問題しされ厳しいルールを設定している国もあります。顧客が理解し節度を守った分析方法を心がけましょう。
RFM分析でグループ分けから改善の方法

グループを分ける方法は、3つの指標を3次元で捉えます。
- Recencyは、右に行くほど最後に購入した日が近い。
- Frequencyは、上に行くほど購入回数を多い。
- Monetaryは、奥に行くほど購入金額を多い。
理想は右上の隅に移動させること。つまり最後に購入した日が近く、購入回数が多くて購入費用が高い状態です。
R・F・Mの中で、左下の隅に近い所があれば改善するように心がけます。
実際の分析で3次元にして分析するのは難しいので、2次元で見てみましょう。
RFM分析を2次元でグループ分けをしてみる。

上図では、Mの多い少ないで分けると8個に分けられますが、今回は分かりやすく4つに分類してみます。
商品・サービスによってはもっと細かく分析してみてもよいでしょう。
更に、購入金額に分けて、それぞれ客単価が高い層・低い層に分けて優先度を変えてもよいかもしれません。
- 低認知顧客:購入回数が少なく、最後に買った日が遠い層
商品のメリットを理解していないか、何らかの理由でリピートにもなっていない顧客です。 - 離反顧客:購入回数は多かったが、久しく購入に至っていない層
元々優良顧客であった可能性が高い顧客です。何かしら不満を感じたか競合に奪われて、優良顧客ではなくなった可能性があります。 - 新規顧客:最後に買った日が近いが、購入回数が少ない層
今週、初めて買った人など新規の顧客である可能性があります。これから購入回数を増やすためにはどうしたらよいか検討しましょう。 - 優良顧客:購入回数も多く、直近でも購入している層
優良顧客です。ここでは、M(購入金額)をさらに増やすか、購入回数が増える施策を行うことが大切です。
RFM分析での改善策検討
RFM分析の目的は、売上を増やすこと。そのためには、グループ分けをしたなかで一番割合の多い層に対して策を考えることが速いと思います。
改善策を検討・見つけていくためには、対策を行いたいグループに属している人に対してヒアリングを行いましょう。
なぜそのグループに属しているのかをヒアリング分析します。
ヒアリングできた「なぜ」が仮説として十分納得するものであれば、それを解消するための改善策・マーケティング戦略を見直します。
正解はありませんが、ヒアリングは3人程度に聞けるのがベストだと思います。1人の場合はその人が特殊である可能性があります。しかし、人数が多すぎると平均的な意見を課題として採用してしまいます。本当のニーズに迫るためには、3人程度がベストだと思います。
最後に
実はRFM分析よりさらに戦略的に分析する方法があります。それが9セグマップというものです。下記の本の著者自ら考案して実践した分析手法です。本当にオススメの本なので、ぜひ読んでみることをお勧めします。
私は、マーケティングの本はかなり読んでいますが、絶対に読んでほしい本上位に入る名著だと思います。もっと詳しく顧客に掘り下げた分析をしてみたい方はぜひおすすめします。