ビジネスは、多角化戦略といって色々なことに手を広げて売上を伸ばす戦略と、選択と集中といって何を行うか選択し、それに投資を集中させる戦略があります。
今回は、後者の方「選択と集中」の戦略の1つである「レイヤーマスター」についてご紹介します。
レイヤーマスターとは?
レイヤーマスターとは、あるレイヤーに特化して事業を行うことです。
???となりますよね。まず、レイヤーマスターを知る前に前提知識である「バリューチェーン」を理解する必要があります。
バリューチェーンとは直訳すると価値の連鎖です。
商品を売る場合は、材料を調達して、商品を作って、出荷して、宣伝して、モノを売って、アフターサービスを行うといった一連の流れがあります。これが価値の連鎖として捉えます。
この1つ1つのことをレイヤーと言うこともできます。 つまり、レイヤーマスターとは、材料を調達する部分か、作る部分かなど価値の連鎖の中で1つに特化して事業を行うことです。
レイヤーマスターのメリット
- 特化しているため、専門性が上がる
- 特化することにより、そのレイヤーの価格を下げられる。
例えば、材料の調達に特化している場合、どこからどういう経路で調達すればよいか、ノウハウがたまります。
バリューチェーン全部を1社で行う場合は、その会社の1部門が担当することになりますが、レイヤーマスターの場合その企業として取り組むことになりますので、独自の調達経路などを結ぶことにより専門性を上げやすくなります。
また、複数社から同じ材料調達を依頼された場合は、一括で仕入れることになるので、規模の効果により1つ当たりの仕入れ額を下げることができます。(例えばスーパーや通販でまとめ買いをすると価格が安くなることがあります。一括で買う量が増えたり、安定的に買うことが約束されると商品価格は下がる傾向にあります。
レイヤーマスターのデメリット
- 協業関係企業の影響を受ける
- 明確な価値がないと他社に乗り換えられてしまう
レイヤーマスターは、ある商品・分野のバリューチェーンの1つに特化してします。ほかのバリューチェーンの1つが不調になるとその影響を受けます。
例えば、スマートフォンです。マーケティング・販売部分でスマートフォンが売れないという状況になると、材料の調達や部品の製造の部分も縮小を余儀なくされます。業績は他社に依存しやすくなります。
また、レイヤーの中でも仕入れや部品作りなど、初期であればあるほど価値を出せないと他社に乗り換えられてしまう危険性があります。いわゆる下請けイジメとも言われます。
レイヤーマスターの主な企業
鴻海精密工業
iPhoneの組み立てする部分を受託している企業「鴻海精密工業」です。圧倒的な販売数を誇るiPhoneのレイヤーマスターの為、安定的な収益を確保できます。一方でiPhoneの販売落ち込みが影響すると売上の影響も大きく与えます。
半導体のインテル
パソコンの中などに入っている半導体。この部品に特化しているのが、インテルです。インテルが入っているマイクロソフトなどの業績に影響します。一方で、半導体はAI用の半導体・動画用の半導体など新たな分野が出てきており、今後生き残ることができるか正念場の状況です。
最後に
- レイヤーマスターは規模の力と専門性を強めることができる。
- 関連企業の影響を受けやすい