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破壊的イノベーションと持続的イノベーションの違いとは?

破壊的イノベーションと持続的イノベーションの違いとは?
・イノベーションを起こそう!
・イノベーションを起こさなきゃ!

など、ビジネスにおいて「イノベーション」という言葉を耳にする方も多いと思います。
「イノベーション」とは革新・技術革新・新しい切り口、捉え方などの意味があります。

ビジネスにおいて「イノベーション」という言葉を使う時は「今までにない新しい価値で世の中を変える」といった意味合いが多いと思います。

確かに「イノベーション」ですが、厳密には「破壊的イノベーション」を指していることが多いです。実はもう1つ「持続的イノベーション」というものがあります。

イノベーションを考える上では、「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」の二つを知っておく必要があります。

今回は、この二つご紹介します。最後まで読んで頂けると違いが明確になり、何を目指すかが見えてくるかもしれません。

持続的イノベーションとは

持続的イノベーションとは、自社の商品・サービスの機能・性能を向上させるための革新の事を指します。

例えば下記のようなもの

  • テレビの画質がきれいになった
  • 電池の持ち時間がながくなった
  • 通信速度が速くなった
  • 自動車の燃費が向上した

基本的にテレビは映りがきれいな方が良いですし、電池も持ち時間が長い方が良いです。

顧客の本来求めている機能をより向上させるようなことが持続的イノベーションです。

名前の通り、その商品・サービスを持続させるためのイノベーションです。

持続的イノベーションの特徴

その市場でのトップ企業が伸ばしやすい

持続的イノベーションは、その商品・サービスの知識や経験がどれだけあるか。
そして研究開発にどれだけつぎ込めるかといった、力で伸びやすい性質があります

その為その市場のリーダー企業ほど伸びやすいイノベーションです。

顧客満足度を上げられる

商品・サービスが生まれた瞬間は、性能が低いなどで便利な一方不満が出やすい状況です。

持続的イノベーションを繰り返すことで、商品・サービスの質が上がり顧客満足度が上がっていきます

例えば、テレビが誕生した時は白黒です。チャンネルはリモコンがなく回す式。映らなければ叩いて治すシーンが印象的な商品でした。
しかし、カラーになり、映像はどんどんきれいになり、リモコンが出来てテレビの近くにいなくてもチャンネルを変える事ができるようになりました。

このようにどんなサービスも最初は買うだけのメリット・魅力がありますが機能全体としては低いものが多いです。顧客が使い不満や要望を聞いてどんどん改善していく事は事業を成功・拡大していくためには大切なことです。

もしまだ、市場に新しい商品・サービスであったり、顧客の不満も多い事業を行っているのであれば「持続的イノベーション」に目を向けて改善していく事が大切です。

持続的イノベーションは、行き過ぎに注意

持続的イノベーションは、行き過ぎに注意

例えばテレビの画質は、非常にきれいです。十分にきれいです。

これ以上きれいになっても、良く分からないという方が多いと思います。
反対に、きれいになったから、テレビの魅力が上がった。という人は少数派でしょう。

画質の向上も、自動車の燃費向上も顧客が不満を抱いている部分を埋めるまでは持続的イノベーションが有効です。

しかし、顧客が不満を抱かないレベルになったのにもかかわらず、持続的イノベーションに拘ると、顧客満足度が上がらなくなるどころか、それに伴い価格が高くなるなら多少質が悪くても安い商品を選ぶようになるなど顧客離れを起こします。

全くとは言いませんが、行き過ぎた持続的イノベーションは、ほとんど無意味な努力になっていきます。

顧客のニーズを良く調べ、無意味な努力にならないように気を付けることが大切です。

破壊的イノベーションとは

既存の商品・サービスの価値を破壊するほどの、新しい価値(技術・商品・サービス)を提供することです。

例えば下記のようなもの

  • ipod・・・音楽はCDではなくデータで聞くようになった
  • 携帯電話のカメラ・・・デジタルカメラなど写真撮影専用の機械が不要に
  • パソコン・・・紙などアナログでやっていた業務がデジタル上で出来るように

このように、ある商品・サービスが生まれることで、既存商品・サービスの価値が一気に低下するような事を破壊的イノベーションと呼びます。

ビジネスで「イノベーションを!」という時は、こちらのイノベーションをイメージして使われる方が多いと思います。

破壊的イノベーションの特徴

スタートアップ、ベンチャーなど新興企業が起こしやすい

破壊的イノベーションになる商品・サービスというものは、最初はマニア向けなどニッチで一部の市場にしか浸透しない事が多いです。
持続的イノベーションの必要性でもご紹介した通り、最初の商品・サービスは不完全で足りないものも多い状態です。

そういったものに、大企業・その市場でトップ企業はあえて狙いません

デジタルカメラであれば、携帯電話のカメラより性能は勝る為、あえて性能の悪く市場規模も分からないところに投資をしません。
投資をしようと思っても、デジタルカメラの開発など本業をおろそかにしたり、携帯電話カメラのせいで本業の売上が落ちるという選択肢はし辛いものです。

その為、そもそも売上がないなど、挑戦に伴うリスクが小さく、参入したばかりでデジタルカメラなど主流部分では勝ち目がないような企業が、破壊的イノベーションを起こしやすい土壌にあります。

破壊的イノベーションは振り返ってみると、「なんでそんなこともわからなかったのだろう」と思う方もいると思いますが、当時の状況に立つと判断が出来なくなるものです。

例えば「空飛ぶ車」

今の自動車が無くなり空飛ぶ車にとってかわるイメージをどこまで抱いていますでしょうか。

危険性や、道路の法整備など課題は山積で、あえて空飛ぶ必要性がないように思えます。
100年後は当たり前になっているかもしれませんが、10年・20年後はどうでしょう。

もしあなたが自動車会社の社長だったとして、自動運転など自動車をより良くするための開発と、空飛ぶ自動車の開発どちらかを選べとなった場合、どちらを選ぶでしょうか

しかも、自分のお金や首をかけての判断です。

これは本当に根深い問題で、様々な書籍が出ています。

「イノベーションのジレンマ」

ジレンマについて語った本がイノベーションの第一人者ともいえるクレイトン・クリステンセン氏の著「イノベーションのジレンマ」です。

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NETFLIX コンテンツ帝国の野望

ネットの動画配信サービスのネットフリックスと、アメリカでDVD・ビデオレンタル業界でTOP企業であったブロックバスターとのイノベーションが起きるまでのリアルなストーリーが描かれた名著です。

読むと、破壊的イノベーションが如何に難しいか分かります。

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破壊的イノベーションは、広めるまでが大変

破壊的イノベーションは、大半のユーザーが求めているものではない可能性が高いです。
厳密にいうならば、ユーザーがまだ必要性に気づいていない可能性が高いです。

例えば、QRコード決済は、paypayが100億円規模のキャンペーンを行って一躍有名になりましたが、キャンペーン以前にあったオリガミペイを知っていた人は少ないでしょう。

破壊的イノベーションは、最初は本当に市場に浸透せず認知もされていません。
その為、認知を高めることが大切です。

大衆化するためには「キャズムを超える」事が必要です。
キャズムを超えるためには、破壊的イノベーションのほかに合わせて持続的イノベーションが必要になります。

下記にて詳しく紹介しています。

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破壊的イノベーションは、持続的イノベーションが限界を超えると現れる

破壊的イノベーションが起きやすいタイミングは、持続的イノベーションがユーザーの求めている水準を超えても起こり続けているときに起こります。

湯沸かしポットの例

例えば、湯沸かしポットは温度別に沸かせるような機能など、沢山の機能が追加されていきました。しかし、機能が追加された分だけ高価になっていきました。

そこで、ティファールのように安く早く簡単に沸かせるだけの湯沸かしポットが一気に売上を伸ばしていきました。

もうそんな機能は求めてないから、もっと○○してほしい」といったユーザーの声が出るようになったタイミングで破壊的イノベーションは起こります。

順番とポイントを理解することが大切

破壊的イノベーションと持続的イノベーションについてそれぞれについてご紹介しましたが、同じイノベーションでも大きく違う事はご理解いただけましたでしょうか。

ある市場においては、破壊的イノベーションをして市場でTOPシェアを取れたら、持続的イノベーションで安定したTOPシェアを持続させることが大切です。

持続的イノベーションの限界がきたらどうすればよい?

持続的イノベーションが起きた場合、社内で破壊的イノベーションを起こすことは非常に難しいです。

その為「両利きの経営」といって、2つの軸で事業展開することをお勧めします。

  • 知の深化:その事業をもっと深掘りする(持続的イノベーションを追う事)
  • 探索:異なった分野・領域に参入・新規事業創出をする。

つまり、主の事業である事業を捨ててまで、破壊的イノベーションを起こすことはほぼできません。ならば、関係ない新規事業などを創出しそこで経験を積みます。

その経験と、事業の知見を得て新たな価値の創出を目指していく事です。

これには、リーダーの戦略・チームの結束力・強い感情に訴えるビジョンなどが必要になります。

こちらはチャールズ・A・オライリー氏の著「両利きの経営」で紹介されています。

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さいごに

イノベーションとはとっても奥が深いものです。さまざまな書籍がでていますし、沢山の事例があります。

古代では、アレキサンダーが長いヤリをつかって敵を寄せ付けない先方を取ったと言われています。
織田信長は、鉄砲を使って戦にイノベーションを起こしました。

本当に数えきれいない例があり、その裏には数えきれいないほどの破壊的イノベーションの被害者がいます

それらを知ることで、よりイノベーションへの理解が深まると思います。

是非いろいろ見てみてくださいね。

  • この記事を書いた人

りゅうじ

元ギター講師のWebマーケティング・ディレクター、事業マネジメントや新規事業の立ち上げなどを行う。趣味はディズニー・映画・読書・テニス・野球・芸術鑑賞・寺社仏閣巡り・写真・その他いろいろ。将棋はアマ2段。もっと人生を楽しく充実させるために、情報を発信中。

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