今までにないアイデアを出したい。
社会人になると、奇抜なアイデア・新しいアイデアは出し辛くなります。
論理的に理解したり話すことを求められるようになるため、大人になるにつれ論理的ではないアイデアが出なくなります。
そんな方にお勧めなのが、水平思考=ラテラルシンキングです。
水平思考(ラテラルシンキング)は、論理的でなはない常識に囚われない自由な発想を出すための思考法です。
つまり、水平思考を身に付けると天才と言われる企業化やアイデアマンに近づくことが出来ます。
特に、時代の流れが速い昨今においては、自由な発想ができる=水平思考ができる人材は強く求められています。
是非身に付けて、ビジネスマンとしてスキルアップしましょう。
今回は、水平思考(ラテラルシンキング)の基本的な内容から、身に付けるための訓練・ゲームにまでご紹介します。
水平思考(ラテラルシンキング)とは?
水平思考(ラテラルシンキング)とは、1967年にイギリスの脳神経細胞にかかわる医学者・心理学者によって提唱された思考法で、前提条件や常識に囚われず水平方向に発想を広げる思考法です。
論理的思考は垂直思考(バーティカルシンキング)と呼ばれ、ある事柄に対して深堀するように垂直に考えます。そのため、水平思考と論理思考はいわば反対の思考法とも言えます。
説明だけでは分かりにくいと思いますので、1つ例をご紹介します。
「りんご5個を2人で均等に分けたい」という発想の場合
論理思考・垂直思考(バーティカルシンキング)の場合
5個を2人で割るなら、5÷2=2.5になるので、2つと半分で分ける。
数字上は間違いがなく、正解のように見えます。
しかし、1つ1つ大きさが違ったらどうでしょう。半分で分けようとしたリンゴが、片方だけ大きくなるという事も考えられます。
論理的にはあっていますが、子供などでのケースならば喧嘩が起きそうです。
水平思考(ラテラルシンキング)の場合
りんごをミキサーにかけて、りんごジュースにして均等に分ける。
りんごジュースであれば、ほぼ同じ量で分けることが出来ます。固形のまま食べたいという場合は、もめそうですが均等に分けるという点では、半分で分けるよりキレイに分けることが出来ます。
論理思考は、算数のように考えたのに対して、水平思考は固形のまま分けるという前提を壊し、今までにない発想です。
論理的に考えても、りんごをジュースにしようという考え方は、なかなか考えられるものではありません。
水平思考(ラテラルシンキング)は、正解は1つではない。沢山出すためには鍛えることが大切。
このように、前提や常識を疑い新しい考え方を導き出そうというのが、水平思考(ラテラルシンキング)です。
この考え方には、正解は1つではなく沢山あります。
大切なポイントは、水平思考によってさまざまなアイデアを出せるような物の見方・視点の数を増やすことが大切です。
しかし水平思考について理解できても、実践するにはどうすれば???結局センス?
と思いますよね。論理的ではないので、論理的に使いこなす方法もありません。
その為、水平思考を身に付けるためには下記のポイントを知り、鍛えることが大切です。
- 水平思考(ラテラルシンキング)するための根本的な考え方・習慣を身に付ける
- 水平思考を考える大きなポイント「シックスハット法」を知る
- SCAMPER法で、1つの事柄をもっと幅広く見る
- 水平思考でイノベーションを起こした成功事例を知る
- 鍛えるためのゲームや練習を行って鍛える。
水平思考(ラテラルシンキング)するための根本的な考え方を習慣化する
水平思考(ラテラルシンキング)は、定義の通り「前提・常識を疑う事」から始めることが重要です。
その為には、3つの方法を習慣化して考えることが大切です。
1.そもそも」を考える。
前提・常識を疑うという事は、「そもそも」から問うという事です。
5つのりんごを2人で分けるという例の時、問題に答えるように「分けるためには」を考えてしまいます。
そうではなく、下記のように「そもそも」を考えます。
- そもそも、「りんご」のまま分ける必要があるのか?
- そもそも、2人で分けなければいけないのか?1つは他の人にあげるのでもよい。
このように、そもそもを考えることです。
特にビジネスにおいては、書類の制作を依頼されたり、○○について考えてと依頼されたときに、前提を疑わずに作業を始めてしまう事があります。
- 「そもそも」その仕事は必要なのか。
- 「そもそも」何のために行うのか、考えるのか。
前提を疑うことで、新たな発想が出てきます。
※「そもそも」人間になりすぎると嫌われかねませんので、心の中で問うようにしましょう。
2.「なぜ?」「なんで?」と不満や問題を考える
そもそもに近いですが「なぜ?」と考える事が大切です。
なぜは論理的思考をするうえでも重要な問いですが、水平思考(ラテラルシンキング)にも応用できます。ポイントは「なぜならば」のように縦方向にならず、「なぜ」という問いで、小さなことでも不満や問題について問いて見ましょう。
- なぜCDを持ち歩いて音楽を聴かなければならないのだろうからipodの発想へ。
- なぜ仕事する上で通勤しなければならないのだろうから、リモートワークの発想へ。
このように、なぜと小さな疑問に対して投げかけてみましょう。「なぜ」調べ物をするのにいちいちネットで検索しなければならないのだろう?
3.魚の目・鷹の眼・他人の眼の3視点で見る
前提を疑う時には、自分視点で考える以外に、他の視点で考えることが大切です。
- 魚の目:細かい所をしっかり見る。小さなこと1つ1つを見ましょう。
- 鷹の眼:全体を俯瞰してみる。自分の視座より高い部分など、大きな視点で見ましょう。
- 他人の眼:他人になりきって考えてみる
自分の仕事に対して奇抜なアイデアが求められる際は、自分の仕事を他人の視点で見たり、会社全体など鷹の眼で見ると違う発想が生まれるかも知れません。
それ以外にも、10年後の私が見るなら。地球が滅亡する時ならばなど、まったく別の次元の視点で考えるのもおススメです。
視点を増やすためのシックスハット法とは?
水平思考(ラテラルシンキング)を提唱した、エドワード・デボノ氏はより、様々な視点で物事を見られるように「シックス・ハット法」というものを考案しました。
名前の通り、6つの帽子を被った状態で、考えましょうという発想法です。
6つの帽子には色があり、被った帽子の色に合わせた考え方で物を見ましょうという方法です。
6つの帽子とは以下の通り
- 白色帽子:客観的・中立的に考える
- 赤色帽子:直観的・感情的に考える
- 黄色帽子:肯定的・積極的に考える
- 黒色帽子:否定的・消極的に考える
- 緑色帽子:革新的・創造的に考える
- 青色帽子:俯瞰的・分析的に考える
シックスハット法の本来の使い方は、会議に参加するメンバーでそれぞれの帽子(帽子じゃなくても分かればよい)を被ります。そして、被った帽子の色に合わせた視点で、議題に対して答えるという方法です。
水平思考(ラテラルシンキング)を自分一人で導きだせるようにするためには、この帽子1つ1つを順番に被ったつもりで考えていくとよいでしょう。
水平思考を考えるためには、この6つの帽子を1つずつ被った前提で考えていくとよいでしょう。
SCAMPER法で考える
SCAMPERというそれぞれの頭文字の7つの問いで考えましょうというフレームワークです。
7つとは下記の通り
- Substitude:入れ替える
- Combine:組み合わせる
- Adapt:当てはめる。応用する。
- Modify:変更する、修正する
- Put to other Users:他の目的で用いる
- Eliminate or minify:排除・縮小する
- Reverse or Rearrange:並べ替える。逆転する。
こちらのページで詳しく紹介しています。
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水平思考でイノベーションを起こした成功事例を知る
水平思考を鍛えるためには、今までご紹介したような視点で見ることが大切ですが、事例を知ることも大切です。事例を知ることで、同じようなケースに遭遇した時に、参考にすることが出来ます。
iphoneなどを生み出したApple社
音楽はCDを持ち歩いて聞くもの。携帯電話は電話をするもの。
といった前提条件を疑い、CDを持ち歩かなくても聞けるiphoneや、パソコンの機能が付いたiphoneを生み出しました。
Windowsで有名なMicrosoft社
Windowsが出るまで、コンピュータは業務用でしか使われないという考えで、一般人には使いこなせないものでした。業務用でしか使われないという前提を疑い、一般の人向けに気軽に使えるwindowsが登場しました。
今では、コンピュータと言えば、Windowsなどのパソコンをイメージする人が圧倒的でしょう。
羽のない扇風機ダイソン社
扇風機と言えば「羽がクルクルと回転することで風が出るもの」が常識でした。
しかし、羽が高速回転する扇風機は、事故の元です。
そもそも扇風機とは、風で人を涼しくさせたり、空気を送ることが出来ればよいのですから、羽をとって安全性を高めたダイソンの扇風機が一気に知名度とシェアを拡大していきました。
このように、水平思考(ラテラルシンキング)で、さまざまなイノベーションが生まれてきました。
他にも沢山事例はあります。特にイノベーションを起こしてきたものに対して分析することで、色んな事例をより深く知ることが出来ます。
クイズゲーム「ウミガメのスープ」とは?
さて、水平思考の視点と、事例をご紹介してきました。最後に水平思考を身に付け鍛えるためには、練習が必要です。
その為に、楽しく鍛えられるゲーム「ウミガメのスープ」をご紹介します。
ビジネススキルを高めるためですが、単純に面白いゲームでもあります。
ウミガメのスープは、2人以上で出来るゲームです。
出題者が問題とその答えを考えておきます。他の参加者は、参加者に質問をして、出題者が考えている答えを導き出すゲームです。
ウミガメのスープの遊び方
- 1人が出題者となって問題を出します。
- その問題に対して、参加者がさまざまな質問をします。
- 質問に対して、「はい」「いいえ」「関係ない」の3つしか答えてはいけません
- 質問と3つしか答えられない解答を繰り返しして、問題の答えを探します。
- 答えを見抜かれたら、出題者の負け。見抜かれなかったら出題者の勝ち。
ある男がレストランで、「ウミガメのスープ」を注文しました。
男は、1口飲んだところでウエイターを呼び、「これは本当にウミガメのスープですか?」と聞きました。
ウエイターは「はい」と答えました。
その夜、男は自殺した。なぜか?
ビジネスにおいて、「顧客が何でお店に来たのか」考えるのは、まさに「ウミガメのスープ」の状況に近しいです。このゲームを行うことによって考え方・発想力を鍛えることが出来ます。
是非ご家族・友人・同僚などと試してみてください。
まとめ
- 水平思考(ラテラルシンキング)とは前提・常識を疑い、新しい発想を身に付けるもの
- 時代の流れが速い今、水平思考は重要なビジネススキル
- 水平思考は、様々な視点で見ることが大切。
- 水平思考は、鍛えることが大切。ゲームを行ったり事例を試しましょう