マーケティングにおいて、重要なスキルは、顧客の気持ちを理解する事です。
簡単なようで非常に難しい為、皆が日々努力を重ねて気持ちをしろうとしています。
そんな中、心理効果は、顧客行動の一定のパターンを知る事が出来る為、顧客の気持ちの理解の手助けになります。
今回はそんな中でも、特に購買する時の心理である「スノッブ効果」と「バンドワゴン効果」をご紹介します。概要としては簡単なものですが、深く理解して、実務に活かしていきましょう。
なぜ、二つセットなのかと言うと、この二つの効果は対照的な効果だからです。
セットで理解する事でそれぞれの効果を使いこなせるようになると思います。
スノッブ効果とは
入手困難なものほど、欲しくなってしまう効果の事です。
例えば、ダイヤモンドが高価なのは、キレイ差もありますが希少価値が高いからこそ値段が上がります。
コロナ禍において、マスク不足となった時はマスクの価格はグングン上昇していきました。
これも一種のスノッブ効果と言えるでしょう。
多くのビジネスにおいて、顧客がいるのに品切れで追い返してしまうという機械損失を恐れるあまり、商品を兎に角多く作ろう・仕入れようという考えが働く事があります。
しかし、多く作りすぎてしまうとスノッブ効果が薄れ、顧客の欲しいという感情を抑えてしまう可能性もあります。
スノッブ効果の事例
国産牛ステーキ丼専門店の、佰食屋(ひゃくしょくや)は、1日100食しか提供していないそうです。多くの飲食店は、営業時間ならいついっても大抵必ず食べる事が出来ます。
しかし、1日100食しか食べる事が出来ないのであれば、食べたい顧客は逃すまいとお店に向かいます。
希少性が高いので、値段が多少高くても売れます。
さらに、100食限定なので、100食分の材料のみを仕入れる為、廃棄が少なくなり、飲食店のネックである原価率を抑える事が出来ます。結果、高利益ビジネスを実現する事が出来ます。
このように、提供する数を限定する事で希少価値を上げ価格勝負にならず、原価も抑えられるといったメリットを受ける事が出来ます。
働き方改革においてスノッブ効果も重要
コンビニなどチェーン店は、機会損失を恐れるあまり、24時間営業など営業時間すら伸ばそうとします。
結果、労働力不足や過酷労働などになり、従業員は疲弊してしまいます。
一方で、顧客からしてみると、いつ行っても買えるので、100食限定のお店と比べ、「あえていこう!」という感情が薄れます。
スノッブ効果とは、顧客の購買需要を促進するだけでなく、働き方改革にもつながります。
スノッブ効果のデメリットと成功するためのポイント
スノッブ効果も、いいコトだらけではありません。
希少価値が上がるのは、その商品・サービスの質が良いからです。
例えば、特に目新しくもなく、特段おいしいわけでもない、普通のラーメンなどを、10食限定として売ったとしても顧客の購買需要を上げる事は出来ません。
最低でも、ラーメンなら他のお店より少し高級志向など、独自性・新規性・クオリティの高い商品を目指しましょう。
その他スノッブ効果の使い方
ここまでは、商品数で紹介しましたが、スノッブ効果には数以外でも活用できます。
人の限定
会員しか、購入する事が出来ないなど、限定した顧客しか得られないという方法です。
また、「1万円以上購入した方に、〇〇をプレゼント」というのもオススメです。
これは、購入する商品に対してのスノッブ効果ではなく、プレゼントされるものを手に入れたいがために、衝動買い・ついで買いを促すという事に繋がります。
例えば、商品についたシールを集めると、グッズがもらえるようなものは、グッズが欲しい為だけにその商品を買うという人を見た事もあるのではないでしょうか。
時間の限定
一年に1回だけ、朝だけなど時間を制限する事でスノッブ効果を得られます。
人間は、苦労して手に入れたものに対してより愛着を持つ傾向もあります。
朝並んで買わなければ買えないというものは、スノッブ効果を得られるだけでなく、購入した後の顧客満足度を上げる事にもつながります。
場所の限定
私の大好きなディズニーランドのグッズは、ディズニーランドでしか買えません。
ディズニーのグッズ自体は、さまざまあり何処でも買えますが、ランドでしか買えないものはやはり希少価値が高くなります。 そうなると、多少高くても手を伸ばしたくなります。
バンドワゴン効果とは?
スノッブ効果とは対照的に、「みんなが買っているから私も欲しい」というように、皆につられて購買したくなる心理の事です。
特に日本は、協調性・コミュニティの強い社会です。
回りが買っていると、同じものを購入したい傾向が強くなります。
バンドワゴンの例
LINEなどが、1つの例です。
本来、チャットが出来るツールはskypeなど沢山のサービスがあります。
しかし、日本人の多くはLINEを使っていると思います。
これは、皆が使っているからです。皆が使っているなら私も使うというように、バンドワゴン効果で使用者が増えます。
特に、Webサービスにおいては、規模がものをいう業界です。
全く使っていないチャットツールと、ほとんどの人が使っているチャットツールでは、チャット機能の利便性が多少あったとしても、使っている人が多い方が選ばれます。
バンドワゴンを活用するための方法
インフルエンサーマーケティングを行う
Twitterやインスタ・youtubeを見ると、自分の好きな人たちがこぞって同じものを使っているとします。
それだけで、興味が湧いてきませんでしょうか?
皆が使っている(欲している)と言うのを理解するためには、その人の身近な人が多く使わなければなりません。
その為には、インフルエンサーを活用しバンドワゴン効果を使います。
ただし、方法によってはステルスマーケティングと言われてしまう事があります。
ステルスマーケティングは、本来お金を支払って宣伝してもらっているのに、宣伝と分からないようにして商品を進めるような方法です。
一方で、広告感を出しすぎると「バンドワゴン効果」を得られる事は出来ません。
現代では、顧客のイメージを大きく損ねる方法です。インフルエンサーに依頼する時は「ステルスマーケティング」にならないようにしつつ、バンドワゴン効果を得られるような工夫が必要です。
口コミ拡散を狙う
インフルエンサーマーケティングは、あくまで広告です。
本来は、広告ではなく純粋な口コミが広がる事が大切です。
一時期流行した、インスタ映えやTikTokなどSNSでより拡散したくなるようなサービス戦略が重要です。
スノッブ効果とバンドワゴン効果は、実は反対というわけではない!
スノッブ効果とバンドワゴン効果は、意味としては正反対です。
しかし、実は両方同時に使いたい効果です。
みんなが欲しいと思っているが、なかなか購入する事が出来ない商品こそ、ブランド力が高く息の長いビジネスになります。
コロナ禍でマスクの価格が急騰したのは、皆が欲しい(バンドワゴン効果)状態で、なかなか手に入らない(スノッブ効果)状態です。