営業スキル

【営業交渉術】Win-Winを目指すBANTAとZOPAの考え方

また値下げ交渉。どうしたらよいかわからない。 顧客との交渉が難しい。

そんな方に、交渉でWin-Winを目指す為の考え方「BATNA」と「ZOPA」についてご紹介します。

特にtoB営業・法人営業において、見られる価格交渉において有効な考え方です。

その他交渉は営業以外にも、子供と親のお小遣い・約束事。友達との決め事、さまざまな時に起こります。 是非、理解しておきたい知識です。

BATNAとは?

交渉において、自分の100%の望みが叶わない場合=合意ができない場合の、最善の代替案です。

例えば、通常価格のプランと、オプションを付けたプレミアムプランのある商品では、売上に貢献するプレミアムプランを購入してもらう事が、理想の合意です。しかし、プレミアムプランの購入が難しい場合は、通常価格プランでも購入してもらえれば売上に繋がります。

この通常プランを購入してもらった場合が、合意できない場合の最善の代替案。つまりBATNAです。

BATNAという名前は、Best Alternative To a Negotiated Agreementの頭文字を取った略語です。

ZOPAとは?

交渉において、ここからここまでは妥協できるという交渉余地の範囲の事です。

Zone of Possible Agreementの略です。

例えば、120万円の商品で値下げ交渉を迫られたとします。80万円まで値下げ可能の場合は、80~100万がZOPAの範囲内です。

BATONAとZOPAは、相手の視点も含めて考えること

自分視点で、最善案や、交渉余地の範囲を考えておくことは大切ですが、交渉は相手との合意を得ることで決定します。

その為、相手のBATONAとZOPAを理解しておき、双方にメリットがある状態で合意することが重要です。

図にすると下記のようになります。

BATONAとZOPAとは

120万円の商品だった場合。

売り手は80万円まで交渉できる場合、80万円以上がZOPA。
買い手側は、100万円までがギリギリ出せる範囲、ZOPAは100万円未満です。

買い手・売り手双方のZOPAは80~100万円の間という事になります。

売り手側はまずは、100万円まで値下げを行って購入してもらえるかがポイントになります。

ここまでの説明においては、特にBATONAとZOPAを知らなくても、概念は理解している人が多いでしょう。

それでも、交渉においてはこの図を頭の中でイメージして相手と自分の交渉の間には、どのようなBATONAとZOPAがあるのかを考えられると論理的に交渉できるようになります

BATONAとZOPAの活用例・具体例 ZOPAがないケース

上記の図のように、最初からZOPAが存在している場合は、双方に妥協・もしくは片方が妥協することによりお互いの利益につながる契約・合意を得ることが出来るでしょう。

しかし問題は、ZOPAがない時です。

ZOPAがないケース

この場合、どちらかが妥協することで、ZOPAを作り出す必要があります。

妥協と言っても、基本的に買い手が単純に譲歩することは考えにくいです。そのため売り手側が工夫をしなければなりません。

売り手側がZOPAを作るために考える工夫

買い手の購入可能金額を高めてもらう為の、付加価値を付ける事

買い手の資金力的に十分変える金額の商品であれば、買い手の購入可能金額を高めてもらう事ができます。

その際には、購入金額を高める意味・付加価値の提供が重要です。

その商品を買うことによって買い手は具体的にどういうメリットがあって、どういうリターンを得ることが出来るのかです。購入後のイメージ増・事例などを紹介することによって交渉します。

法人向け営業であれば、社内決裁を通すために具体的な提案資料を一緒に作ってあげるなどで、高めることが出来るかもしれません。

LTVという考えで長期視点をもって、値下げ交渉する方法

ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)という考え方があります。買い手が、その商品と接点をもってから契約終了もしくは、サービス使用をやめるまでの期間どのぐらい利益をもたらしてもらえたかを算出するものです。

値下げ交渉においては、その商品単体の販売において利益が出るかを考えがちです。しかし、2回以上購入してもらえれば利益が出る場合は、初回購入は赤字でも提供することも検討しましょう。複数回購入してもらえたり、月額料金であれば解約までトータルで見た時に利益が出れば、収益を確保することができます。

某化粧品など、初回無料キャンペーンなどを行っている場合があります。それは1回目の購入は赤字でも、2回目以降でしっかり利益を確保するビジネスモデルです。

このように1回の交渉でZOPAを探すのではなく、長期視点をもってZOPAを探すことで柔軟に考える事ができます。

サービスの質を下げて値下げ交渉する方法

予算配分などでどうしても、値下げをしなければ買い手が購入できない場合は、サポートをなしにする。機能制限などを付けるなどサービスの質を下げて交渉することもできます。

利益構造的に見れば、その商品を提供するためのコスト。つまり損益分岐点を下げることで、値下げしても利益が確保できるようにしたうえで、提供価格を下げるという事です。

ZOPAを安易に変えてしまう時の懸念点

ブランド力を毀損しかねない

ベンツなどの高級車は、高いからこそ購入の敷居が高く持っている価値が生まれます。格安のベンツの車が販売されるようになってしまえば、ベンツ=高級品というイメージが崩れブランド力を毀損してしまいます。

安易に値下げ交渉をしてしまうと、その商品のブランド力が落ちてしまいます。そうすると価格以上に価値そのものが下がってしまいます。

他社との取引で不利になる

安易に値下げ交渉に応じてしまうと、前例が出来てしまい、他の顧客にも同様の交渉を迫られる可能性があります。そうすると定価そのものを下げかねる状況となり薄利多売の状況になってしまいます。

まとめ

  • 交渉においてはBATONAとZOPAを意識する事
  • ZOPAがない場合は、利益を守ったうえで妥協も
  • 安易な妥協は、薄利多売になるので気を付けること
  • この記事を書いた人

りゅうじ

元ギター講師のWebマーケティング・ディレクター、事業マネジメントや新規事業の立ち上げなどを行う。趣味はディズニー・映画・読書・テニス・野球・芸術鑑賞・寺社仏閣巡り・写真・その他いろいろ。将棋はアマ2段。もっと人生を楽しく充実させるために、情報を発信中。

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