・ちゃんと調査したはずなのに違った‥‥
・あの人、凄い先入観が強い
結局、大きな損・無駄をしてしまった。
こんな経験をしたこと。あるいは周りで見たことはありませんか?
人は努力したこと、1回お金などリスクを払ったものに対しては、諦めが付かず結局被害を大きくしてしまうという事があります。
これらの事をサンクコスト効果・コンコルド効果と呼びます。
2つ言い方がありますが、意味は同じです。
また、使い方次第では売上アップ・三日坊主を避けるような、特になる効果でもあります。
今回はこの2つの効果について解説していきます。
最後まで読んで頂くと、サンクコスト効果・コンコルド効果を上手に使いこなせるようになると思います。
サンクコスト効果・コンコルド効果とは?
サンクコスト効果・コンコルド効果とは今まで頑張った労力・費やしたお金や時間が無駄になるのを避けたいがために、損する可能性が高いのに引くことが出来なくなってしまう現象の事です。
例えば、競馬で1度負けた時。負けを取り戻すために次も賭けようとして結局大きな負けをしてしまうなどです。
サンクコスト(Sunk Cost)とは、埋没費用という意味です。
具体的には、既に回収不可能になった費用・時間・労力などを指します。
- 競馬・パチンコなどのギャンブルで使ったお金は直接的に戻ってきません。
- サイト制作費用・店舗開店準備費用・設備の投資費用も直接戻ってきません。
- 皆で考え頑張って商品を作ったとして、その労力や時間は戻っては来ません。
それぞれ、諦めなければ投資リターンとして、お金などの利益として戻ってくることは考えられます。
しかし、戻ってくる可能性がないのであれば、辞め時を考える必要があります。
その時に、「今までの労力が水の泡・お金が無駄になる」という考えから意地になって投資を継続してしまうとサンクコスト効果・コンコルド効果になってしまいます。
過去の労力・お金・時間などのコストは、既に戻ってくることはないので過去の事は考えず、今から未来に対して考えなければいけません。
それでは、コンコルド効果の由来となった事例をご紹介します。
コンコルド効果の由来の悲しい事例
コンコルド効果のコンコルドとは、1960年代にイギリスとフランスで開発をした「超音速旅客機」の名前です。
超音速旅客機と呼ぶぐらいで、時速約2400Kmを超える速度で飛ぶことが出来たそうです。
これはジャンボジェットの3倍のスピードです。受注もどんどん獲得していきました。
※宇宙まで行くスペースシャトルが時速約1800㎞なのでそれ以上のスピードです。
開発には、約4000億円という物凄いお金が投じられていました。
凄いお金・時間・労力の掛かった事業です。
しかし、開発途中でビジネスとして非常に使い勝手の悪いものという事が判明します。
スピードが出る旅客機だけあって、燃費が悪く価格も高い、定員数も少ない状態でした。
さらに、騒音問題・滑走路も長くないといけないなどです。
発覚後、受注のキャンセルが相次いでしまい、開発自体を止めて受注を受けている旅行会社に違約金・損害賠償を払った方が赤字額を小さく済む事態になりました。
それでも今までのお金・時間・労力というサンクコストが、なくなることを恐れ開発は辞める事が出来ませんでした。
結果、数兆円の赤字が出たと言われています。
この事例から「コンコルド効果」と呼ばれるようになります。
このように、今まで費やしたサンクコストが大きければ大きいほど、辞める事が出来ず冷静に見れば明らかに辞めるべき状態でも辞められなくなります。
サンクコスト効果・コンコルド効果の身近な例
事業の継続判断のミス
折角考えて立ち上げた新規事業。ただし、立ち上げたら計画に大きな穴があり全く儲からない状態の時。
広告費を増やせば何とかなる。もっと投資をすれば何とかなる。
そういった気持ちで事業を辞められなくなり多額の負債を抱えることになってしまうケース。
これは非常に難しい判断です。
もしかしたら続ければ利益が出てくるかもしれません。
しかし、計画の大きな穴が、改善できる術がないのであれば、早く撤退すべきです。
過去の戦争・戦などの歴史においても、まったく勝ち目がないのに「根性論」で戦って大きな被害を出してしまうという事があります。将来、結果的に勝つためには勇気ある撤退も必要です。
ムダな仕事の継続
営業リスト片っ端からかけるというような、人海戦術の仕事の例です。
100件以上かけても全く受注が出来ないのであれば、リスト自体が悪いか営業方法が悪い・商品自体が悪いという事があります。
「せっかく100件かけたから全部かけるまで続けよう。」というのは非常に効率が悪い選択です。
まず100件かけてみた結果から分析をし対策を考えたうえで続けないと無意味な時間が続いてしまいます。
仕事は、利益を増やすことが大きな目的であり、〇件電話する・〇円広告費を使い切るなどという考えが出てきてしまった時は目的を忘れてサンクコスト効果に陥っている可能性があります。
本来の目的を思い出すことが大切です。
ネットゲームの依存症、重課金
ネットゲームは、飽きさせない辞めさせないために非常に面白く出来ているものが多いです。
1回課金して豪華なアイテムがそろうと、せっかくここまで進めたのだから辞めるのはもったいないという考えになってしまいます。
そのままどんどんゲームを辞める事が出来ず依存していってしまうという事もあります。
また、ガチャという1回いくらというようにお金を出してアイテムをゲットするゲームにおいても当てはまります。1回引いても欲しいものが出てこなかったからもう一回。こんなにお金かけたのだから出るまでやる!というように止まれなくなります。
どんなに面白くても、レアなアイテムが出なくても賭けた時間・お金は戻ってくることがありません。
楽しむ分には良いですが、ムキになってしまった時は要注意です。
山登りでの危険
山を途中まで登った時、炎天下の中飲み物が無くなってきたり、天候が悪くなってきたとき。
安全を考慮して早めに下山すべきです。
しかし、「ここまで登ったのだから頂上まで行ってみよう」という考えで登ってしまうと、山の頂上で熱中症や災害にあってしまうという事も考えられます。
ここまで登った時の時間は、戻っては来ません。注意して判断しましょう。
同様の例では、飲食店の順番待ちなどもあります。ここまで待ったから最後まで並ぼうという考え方。これ自体に良い悪いはありませんが「サンクコスト効果」が働いています。
サンクコスト効果・コンコルド効果で被害を防ぐ為には
サンクコスト効果に陥っている事を自覚する事
このような心理効果でまず防ぐ手段は頭の中に「ブレーキの場所を見つける」という事です。
- こんなに
- せっかく
- 今まで
のような言葉が出てきたら「サンクコスト効果」に陥っています。
言葉を発した時・誰かが発した時は、サンクコスト効果だな!と思うようにブレーキをかける習慣づけをしましょう。
すべてにおいてサンクコスト効果が悪いわけではなく良い場合もあります。
ただし、無自覚でいると判断を謝る可能性があります。自覚が出来るようにしましょう。
過去を振り返らない事
サンクコスト効果は、過去にこだわっていることが多いです。大切なのは今と未来です。
過去費やした労力・時間・お金は経験として未来に活かしていけばよいのです。
未来の意思決定する際に、過去の事は一切考えないようにしましょう。
※当たり前ですが失敗した原因・要因は振り返る事が大切です。
何が目的かを考える事
サンクコスト効果の考え方は「頑張ってきたから続けるべき」という考え方です。
しかし、事業を立ち上げた時の目的は利益を上げることです。利益を上げるために続けるかどうかです。
インターネットゲームも、暇な時間などを楽しむためなど娯楽の為です。使ったお金がもったいないからやるものではありません。
最初の目的は何だったのかを振り返ってみましょう。
自覚したら、合理的に考える事
サンクコスト効果は、本能的な考えです。合理的に考えれば選択するはずのない事をしてしまいます。
最初の注意ポイントで紹介した「サンクコスト効果に陥っていることを自覚」できたのであれば、合理的に考えてみましょう。
例えば、順番待ちで並ぶ時間。
もし仕事を時給換算した時=1時間の生産性が2500円などであったら1時間並ぶと損失する時間は2500円です。
まだ2時間並ぶのであったら、この順番待ちは5000円の価値があるのかどうかを考えましょう。
マーケティングに使える!
サンクコスト効果をマーケティングとして活用しているのが、例でも取り上げている「ギャンブルやインターネットゲーム」です。
実際に辞められなくなる人はいます。
倫理的な観点は抜きにしてビジネスとしてはユーザーの課金額が増えることで利益が増えていきます。
これはビジネスとしてはかなり使える効果です。
他にもサンクコスト効果を上手に使っている事例をご紹介します。
ポイントカード
- ポイントの有効期限が切れる前に、あの店舗にいこう。
- このポイントカードでここまでためているから、あのお店に行こう。
ポイントカードは、「せっかく貯めたから」といったサンクコストにより再来店を促す効果があります。
あと〇〇円購入したらキャンペーン
- ネット通販などで5000円以上お買い上げの方は送料無料など
- 対象の商品1000円以上お買い上げの方は、○○グッズを差し上げます。
と言った場合、ついつい多く買ってしまいます。せっかく買うならもう一つ。と客単価を上げる事が出来ます。
効果を使って、継続力を高める
大きな投資をしたら、本能的に辞める事が出来なくなるサンクコスト効果。
その為、どうしても継続したいことがあれば大きな投資をすると継続力を高めることが出来ます。
ありきたりですが、習い事を始める時は、高い道具を買うことで「せっかく買ったのだから」という効果が働きます。
また、部屋をものすごくキレイに掃除すると、せっかく時間をかけて掃除したのだからキレイに使おうという心理も働きます。
このように、継続力を高めるためにもサンクコスト効果は使えます。
最後に
サンクコスト効果・コンコルド効果は、使い方によって有効であったり被害を与えてしまう事があります。
大切なことは、この効果を上手に使う事です。
日々の自分の考え・選択の動機を考えることで上手に使いこなせるようになると思います。
是非、サンクコスト効果を上手に使ってよい日々を送りましょう。