売る商材の額が大きいほど、顧客は慎重になります。
そして、営業方法も大きく変わっていきます。
例えば、100円の商品・1000円の商品であれば、営業がいなくても気分・勢い・なんとなく購入するという事もあり得ます。
この場合、営業がいなくても売る事ができます。営業が入る場合でも、巧みな話術などテクニックで獲得しやすくなります。
しかし、購入金額が高くなるほど話は変わっていきます。
自動車・不動産などなど、高額な商品はより慎重に吟味して購入していきます。
巧みな話術で営業してしまうと、逆に不信感を与える可能性もあります。
また、法人向け(BtoB)の商材の場合は、費用対効果を出さなくてはいけなく、同僚・上司・社長など様々な人が絡み合って検討していくため、営業のハードルは高くなります。
こんな時に、知っておきたい営業の考え方が「リードナーチャリング」です。
今回は、リードナーチャリングについてご紹介していきます。
是非、営業活動に役立てていただければと思います。
リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、主に見込み客を、受注に結び付けるために、育成していく事です。
「リード」は、見込み客という意味で使われます。ナーチャリングとは、直訳すると「育成・養育」という意味です。
主に、法人向けサービス(BtoB)にて使われる手法です。
リードナーチャリングでの育成を具体的にすると、セミナーやWebサイトなどのコンテンツを通して、商品への理解度を高め興味・関心を引き出し受注するという事です。
法人向けサービスの場合、商品・サービスを購入したら、それ以上の利益を上げなければいけません。
購入する前に、費用対効果があるかどうかを試算して判断するという事もあります。
使ったことのない商品に対して、費用対効果があるかどうかを見極める事は困難です。
「良く分からない商品・サービス」と思われると、費用対効果の算出をする前に導入を見合わせてしまうという事も考えられます。
その為、どういう使い方が出来て、どういう費用対効果を生み出せるか、顧客自身に理解してもらう必要があります。
この理解してもらう事=育成(ナーチャリング)と呼びます。
セミナーや、Webサイトでの商品の説明記事・Youtubeなどでの説明動画などを提供してナーチャリングをしていきます。
また単純接触効果(ザイオンス効果)と呼び、接点が増えるほど愛着が湧くという心理効果もあります。
接点を増やす事で、導入への意欲を高めていきます。
リードナーチャリングが重要な理由とは
昨今は、インターネットなどメディアの発達により、顧客自ら様々なサービスを調べる事が出来るようになりました。
顧客は複数のサービスと比較検討したうえでより良いサービスの導入するようになりました。
この比較検討で勝ち残るためには、その商品・サービスの魅了・内容をしっかり理解してもらう事が大切です。そのため、リードナーチャリングは重要視されています。
リードジェネレーション・リードクオリフィケーションという言葉もある
リードナーチャリングと合わせて覚えておきたい言葉に「リードジェネレーション」と「リードクオリフィケーション」いうものがあります。
リードジェネレーションとは
見込み客を発掘・集客する事です。
展示会に出展したり、テレビCMなどで広告を出すなどです。
リードナーチャリングをしていくためには、そもそも見込み客がいなければなりません。
個人的な見解ですが、「リードジェネレーション」という言葉を使うより、「マーケティング」という言葉を使われる方が多いと思います。
リードクオリフィケーションとは
リードジェネレーションによって、発掘した見込み客を選別して効率よく獲得していく事です。
例えば、たまたま展示会で通って、声をかけられたから名刺交換してしまった見込み客と、自ら展示会へ訪れ商品・サービスの説明をよく聞いた見込み客では、受注角度は大きく変わる可能性があります。
両者とも全力で営業をしていては、時間が足りず効率が悪くなります。受注角度が高い方に注力して提案していった方が効率的に受注数を増やしていけるかもしれません。
リードナーチャリングの受注獲得以外のメリット
最適なタイミングで、最適な提案が出来る
リードナーチャリングは、人体人以外にもメールやオウンドメディアなど全てのチャネル・接点を通して育成してきます。
全てのデータを管理する事が出来れば、久しぶりにサイトに訪れた人や、メールをよく読んでいる人を中心にアプローチするなど戦略的な営業ができます。
顧客が望んでいないのに必要な営業や、望んでいるのに提案が出来ていないなどの課題を解決する事が出来ます。
解約され辛くなる
商品・サービスの良いところ・使い方をしっかり理解してもらう事が出来れば、購入後もしっかり使われ、費用対効果を出せる可能性が上がります。
その為、顧客満足度も上がり解約・顧客の離反を防ぐ事が出来ます。
例えば顧客管理システム・勤怠システム・経理システムなど、法人向けサービスの場合は、機能の複雑さが増していきます。
導入決定者が理解する事も大変ですが、社内に浸透させるという大きな壁もあります。
サラリーマンの方であれば、会社のシステムが変わり「面倒くさい」「前の方がよかった」「使い方が分からず結局、紙でやっている」など、思ってしまった経験はないでしょうか。
ほとんどの法人向けのサービスは、社内への浸透・定着が非常に難しい問題となります。
とんどの企業が経験する事の為、購入する前に、他社で解決した事例や、解決する方法・ノウハウを伝える事で、問題を乗り越え定着し、解約されなくなる効果が期待できます。
稟議を通しやすくなる
高額の商品・サービスの場合は、上司・経営者の稟議を通す事が重要です。
この時の、一番の課題は、営業担当が最初に提案した相手が、その上司・経営者を納得させる提案をしてもらわなければならない事です。
営業マンは、営業研修や沢山の企業への提案の経験を経てようやく受注できるようになります。
しかし、提案した相手は、1時間程度の商談で聞いた話を元に、上司・経営者に1発勝負で提案をしなければいけません。
一緒に稟議書を作っていくという事も大切ですが、商品・サービスの内容を、しっかり理解してもらう事が何よりも重要です。 リードナーチャリングで、理解してもらう事は、社内稟議を通すためとも言えます。
リードナーチャリングの主な手法4選
リードナーチャリングは、商材によってアプローチ方法は異なります。
アイシーズの法則など、それぞれの導線設計を立てた上で施策を考えていく事をオススメします。
今回は、その中でも王道の手法の4つをご紹介していきます。
顧客はどう動く?AIDMA(アイドマ)とAISCEAS(アイシーズ)の法則
マーケティングにおいて、顧客(ユーザー)が自社の商品を認知してから購買に至るまでを順序立てたものが、AIDMA(アイドマ)・AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)の法則です。 AIDMAの法則は、派 ...
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オウンドメディア
こちらは、自社企業サイト、商材のサイトなどのコンテンツから、Youtube・SNSなど様々なWeb上のコンテンツを指します。
Youtubeで、見込み顧客を開拓し、商材のサイトに誘導します。
そこから、様々なコンテンツを見てもらい、商材への理解度や興味関心度を増やします。
ポイントとしては、商材サイトなど自社のサイトに訪れた場合は、閲覧履歴や属性などを取得できるツールを活用するという事です。
無料で使える代表例としては、Google Analyticsですが、セールスフォースオートメーション(通称SFA)や、CRM(顧客管理システム)などを通じてオフラインとオンラインをつないで行動履歴を追う事もできます。
例えば、名刺交換した人を登録しておいて、その人がWebサイトに訪れたらシステム上でアラートを出すという事もできます。※厳密には、メールなどを通じてクッキーを取得できた場合などに可能になります。
メルマガ
名刺交換した時や、サイト上で無料登録など何かしらの手段を通してメールを取得できた顧客に送っていきます。
一般的なメルマガは、週1回などでおススメのキャンペーンや、新着情報などを提供するなどが多いと思います。
今のリードナーチャリングでは、ツールなどを使うともっと戦略的に獲得していく事が出来ます。
シナリオ設定と言って、1回メールを送った時に、開封した人には、開封した前提の内容を送ったり、開封しなかった人には、異なる内容のメールを再度送るなど、1人1人のメール閲覧状況によって、適切な内容を適切なタイミングで送るという事が出来ます。
これによって、一般的なメルマガのように一斉に同じメールを送るより、戦略的に顧客を育成して受注に結び付ける事が期待できます。
セミナー(ウェビナー含む)
見込み客に対しては、セミナーが一番ナーチャリング出来る手法です。
もっとツールを知りたい、内容を知りたいといった人に、1~2時間など決まった時間を頂いてしっかり説明していきます。
説明内容は商材の具体的な使い方や、成功事例・失敗を防ぐ為の方法などです。
場合によっては、商材に関わるけど商材自体の宣伝にはならないセミナーなども効果的です。
例えば、営業支援ツールであれば、単純に営業の獲得を高めるための提案方法などです。
営業を良くしたいと思った人を集める事が出来れば、セミナーの最後に商材の紹介などをして一気に受注に結びつけられるかもしれません。 コロナウイルス感染症などの影響により、会場に集まってのセミナーは難しくなりました。その場合は、ウェビナーといってWeb上でセミナーを開催するという方法もできます。
FAX・チラシなど紙媒体
紙媒体の宣伝力・威力は依然と比べて格段に落ちていますが、まったく意味がないわけではありません。ITの知見が低い業界・業種は、メールやWebなどより紙の方が見てもらえる可能性もあります。
紙媒体を通じて、セミナーやWebサイトに誘導してナーチャリングしていくという方法もあります。
最後に
リードナーチャリングとは、テクノロジーの進化とともに重要性が増し、出来る施策のレベルも上がってきています。
是非、色んなツールを通じて良いナーチャリング施策を行い、効率よく受注が出来るように目指してみましょう。