

クロスセルを高めるための施策を考えよう!
という話、理解できますでしょうか?
売上は「顧客の数 × 客単価 × 購入回数」の3つの掛け合わせです。
アップセル・クロスセルは、その中の「客単価」を上げる手法。つまり売上を高めるための3つのうちの1つを上げる手法です。
その為、営業・マーケティングなど売上を高める人には必須の知識といえます。
今回は、それぞれについて例を踏まえて分かりやすく解説します。
アップセルとは

アップセルとは、顧客に対して客単価を向上させるために、少しでも高額な商品・サービスを購入・乗り換えてもらう為にすすめる事です。
例
- 飲食店にて、プラス100円で大盛に変更できます。
- 携帯料金で、一つ上のプランになると通信制限が全くかからなくなります。
- クレジットカードで、ゴールドカードに変更しませんか?
このように、同じ商品でも少し高いプランに変更することで売上を高めようという施策です。
アップセルを成功させるためのポイント
元の価値を若干下げる
飲食店を例にすると、普通盛りでは男の人達では若干足りないような量にしておくと、大盛にしてもらえる確率が上がります。
やりすぎてしまうと商品そのものの価値やブランド価値が下がる可能性がありますので注意が必要です。
松竹梅の法則を使う
高いプラン・普通のプラン・安いプランの3種類のプラン用意しておくと人は真ん中を選ぶ習性があります。
松竹梅の法則と言ったりします。
例えば、自転車で1台1万円のものと、2万円のものがあったとします。
そうすると、高い方によっぽど価格に見合った価値がないと多くの人は、1万円の安い方を選ぶでしょう。 しかし、1万円・2万円・3万円の3種類あると、真ん中を選ぶ人が増えます。
安いのはちょっと・・・
でも高いのはもったいない・・・
じゃあ真ん中で!
という具合に決まっていくと、質全的にアップセルを実現できます。
料金が高い方が、結局お徳!にする
例えば、携帯電話にて今まで通信制限かかって不便だったことが、たった1000円増やすだけで無限に使えるようにするなどです。
料金は確かに高くなりますが、顧客は料金だけでなく費用対効果を気にします。 高くなったことによって、それ以上の価値があると判断してもらう事ができれば、アップセルを実現しやすくなります。
過度なアップセルは注意が必要。ゴリ押しは厳禁
過度なアップセルを行うと、その企業・商品に対して不信感を与えたり、買って損したと思わせてしまう事があります。
1回の購入では確かに売上が上がりますが、二度とその顧客は来なくなる可能性があります。
最悪の展開では悪い噂は一気に広まります。「高い商品を進められるけど、絶対断った方が良い」「あの商品は買わない方が良い」と口コミが広がってしまいます。
アップセルは、料金にあった・それ以上に価値を感じてもらう事が重要です。 麺大盛っていっても、少ししか増えない。ではなく麺大盛にすると満足できるだけ食べられるの方が良いかもしれません。
クロスセルとは

顧客に1つの商品を買ってもらうついでに、付属品など他の商品も一緒に購入してもらう。あるいはセットで買ってもらう事により客単価を上げる手法です。
アップセルは、1つの商品でも1つ上のグレードを購入してもらうのに対し、こちらは購入する商品数を高めることで客単価アップを狙います。
例
- ハンバーガーと合わせてポテトのセットはいかがですか?
- 今回ご購入いただいた車に、5万で〇〇の機能を付けられます!
- 携帯電話だけでは保存できる容量が足りないので、SDカードもいかがですか?
このように、1つの商品の顧客体験を高めるための、商品を合わせて紹介することで客単価を上げる手法です。
クロスセルを成功させる方法
その商品・サービスを利用する時に、欲しくなるものを提供する
- 食べ物であれば、飲み物が欲しくなります。
- 1眼レフであれば良いレンズが欲しくなります。
- 携帯電話であれば、携帯カバーが欲しくなります。
このように、商品・サービスを使う時に、これがあったらな…。というものを合わせて提供することで、クロスセルを実現できます。
テンションリダクション効果を狙う
車や、高級な1眼レフカメラなど買う時は、大きな出費になるため、物凄く悩み緊張します。
思い切って決断し買った瞬間に人は、緊張の糸が切れてしまい、ついで買いをしやすくなります。
例えば300万円の車を買った後に、1万のサービスを提供されても1万ぐらいいいよ!となります。車を買わなかったら1万円という額は少し考えるでしょう。
このように高額の商品を買った後などの、気のゆるみをテンションリダクションと言います。その為、車・カメラなど高額商品には必ず付属サービスを進められます。
もし提供しているものが高額であれば、クロスセルを狙うとよいでしょう。
仕組みでクロスセルを実現する
コンビニなどでレジ横に、商品が並んでいたりします。すっと取って買ってしまいますよね。これは営業が進めるのではなく仕組みでクロスセルを実現している例です。
家電販売店なども、レジの横に電池を置いてあったりします。これもクロスセルです。
基本的には、1つ目の利用する時に欲しくなるもの・レジで購入している間にテンションリダクション効果の2つを効果的に行っている例です。
商品そのものを安くして、クロスセルで収益を得る
大きなクロスセルとしては、プリンターがあります。
プリンター本体は物凄く格安です。しかし、インク代は高いですよね。プリンターを使用するにはインクが必要です。インクを購入してもらう度にクロスセルを実現しています。
通常のクロスセルは、1回のレジで高くする手法ですが、プリンターの場合は、長期的に見ての客単価をアップさせるクロスセル手法と言えます。
長期的に見て客単価を上げる手法はLTV(ライフタイムバリュー)、日本語でいうと顧客生涯価値と言います。
厳密にLTVとは1人の顧客が、その商品・ブランド・企業と接点を持ってから、一切利用をしなくなるまでにどのぐらい利益をもたらしたかを数値化したものです。
例えばNHKの受信料のLTVは(社会人になった22歳などから死ぬまでの年数 × 年額料金)となります。
クロスセルで気を付けなければいけないポイント
飲食店で、食べ物を提供したら飲み物は欲しくなります。
高級店などは水すら有料でクロスセルを狙っています。
これが、一般的なお店でもお水に料金を取れば、顧客から大きく批判を受ける可能性があります。そうなると、顧客離れを起こす可能性があります。
元の商品の機能を削ってまで付属品を増やしたりしても、顧客離れを起こす可能性があります。
顧客に対し多く費用を払ってもらうということは、アップセル同様その分の価値をしっかり提供していく必要があります。
ダウンセルとは?
アップセル・クロスセルのほかに、ダウンセルというものがあります。
ダウンセルは、アップセル・クロスセルの逆で客単価を下げる商品・サービスを勧めることです。
- 本来アップセルのケース
高いグレードがあっても、顧客の利用状況からして勿体ない場合は、安いプランで十分と伝えます。 - 本来クロスセルのケース
「お客様の利用目的であれば、この付属品はいらないですよ。」と購入を止めたりします。
これは、LTV(ライフタイムバリュー)を念頭に置いた手法です。
アップセル・クロスセルは、本記事からも感じられた方がいると思いますが、顧客の為というよりも利益至上主義になりがちです。
顧客が本当に、満足して購入・使用してもらい、長いお付き合い・お得意様になってもらう為に行います。
アップセル・クロスセルには従業員満足度(ES)も重要
アップセル・クロスセルには、顧客にも満足してもらった上で売上を上げる必要があるとお伝えしてきました。
それの理由の一つに、従業員満足度(ES)という指標があります。
自分だったら買いたくないという商品をアップセル・クロスセルのために、ノルマを課して販売させるようなことに繋がると、従業員満足度が下がり離職率がアップしてしまいます。
かならずWin-Winとなる設計をしたうえで、アップセル・クロスセルを狙いましょう。
まとめ
- アップセルは、同一商品の中で1つ上のグレードの物を進める手法
- クロスセルは、セット・抱き合わせで購入してもらう手法
- ともに、顧客と従業員共に満足度を上げることが大切