・やることを洗い出さないといけない
・競合・市場分析をしなくてはいけない
・戦略を考えなくてはならない
こんな、何かをモレなく分析していかなくてはいけない時に使えるのがMECE(ミーシー)です。
MECEの考え方自体は、物凄く簡単ですが、実際に使うのは少しコツが必要です。
今回は、そんなMECEについてご紹介していきます。
MECEとは?(ミーシー)
MECE(ミーシー、ミースィー)といったりします。
Mutually Exclusive Collectively Exhaustiveという単語の略です。
直訳すると、お互いに重複せず、全体に漏れがない状態というで、簡単に言うと「モレなくダブりなく(分ける)」ということです。
概念自体は、学校などで習ったことはあると思います。
MECE(モレなくダブりのない状態)
上記の図のように、3つの要素が隙間(モレ)がなく、重なり(ダブり)のない状態の事です。
モレなくダブりなく分けるという事は、モレなくダブりなく対応・対策が出来るという事です。
例えば、出かける時に必要な持ち物を、モレなくダブりなく持っていく事が出来れば、準備万端で且つ、最低限の持ち物で出かける事が可能です。
その為、MECEは戦略を立てる時に物凄く有効になります。
- 経営
- 営業
- マーケティング戦略
- 課題に取り組む時
などにおいては、モレがなく、ダブり(同じことをやってしまう)という事がないようにすることが大切です。 MECEを理解し、MECEを使いこなすことが出来れば、「あれをやり忘れた!」「同じことをやっていた!」あるいは、「この結果はどっちの施策の要因だ?」というのが分かるようにもなります。
モレがある場合はどうなる?
この図の状態では、多くの部分にスキマ(薄いピンクの部分)があります。
モレがあるという事は、MECEを使って分析する戦略・施策などにモレが生じるという事です。
例えば、明日学校の定期テストがあるとします。
明日のテストをMECEで分けるとすると、教科で分けられます。
もし、英語・数学・国語の3つだとした場合に、国語の教科のテストがあることを忘れていたらどうでしょう?
対策が出来なく、良くない点数になってしまう可能性があります。
また、図のようにあるエリアの営業をしなければいけない時に、営業リストが一部の部分しかなく、多くが漏れていては対策にモレが生じてしまいます。
Webサイト集客では、集客別に分けることが出来ます。
- 検索流入
- 広告流入
- 直接流入
- SNS流入
などなど。実際に全て対策するかどうかは別として、戦略策定時にモレがあるとしたら対策にもモレが生じてしまいます。
ダブリがある場合はどうなる?
図のように、重なる部分が発生している(ダブり)がある状態です。
ダブリがあると2つの悪影響が考えられます。
対策が重複してしまう
例えば、薬局への営業リストを作るとします。
ドラッグストアと、処方箋が必要な調剤薬局のお店、の二つに分けるとします。
この時、きれいに二つに分けられることが出来ればよいですが、実際には調剤併設のドラッグストアというものが存在します。
ここで重複があると、ドラッグストア担当か調剤薬局担当かどちらが営業に行けば良いか分からなくなります。
このように重複があると対策も、重複してしまう可能性があります。
分析が出来なくなる
営業を行う時、東日本と西日本でエリアを分けて獲得するという分け方の場合、営業状況や成果は、エリア別にみればキレイに分析ができます。
しかし、架電営業と訪問営業を分けるといった分け方をした場合に、ほとんどの顧客が最初は架電営業を受けたのち訪問営業を受けて受注した場合、どっちが受注に結び付けたのでしょうか?
対策が重複してしまうと、どちらが成功・失敗要因だったが曖昧になる可能性があります。
その場合、PDCAは定量的にではなく、感覚的に回すことになってしまう為、改善が進まない可能性があります。
※架電・訪問営業の成果が、一連の流れであれば、架電は訪問営業設定率・訪問営業は受注率として分けることは可能です。
MECEに分ける2つの方法
改めてですが、MECEはモレなくダブりなく分ける事です。
概念は物凄く簡単ですが、ビジネスにおいては様々な要因が絡まりあっていることが多く、意外と難しい場合もあります。
具体的な、分け方をご紹介していきますので、是非実践でも役立ててみてください。
MECEの分け方は主に2つ
- 因数分解する
- 時系列に分ける
因数分解してMECEに分ける
数学で習った素因数分解を覚えていますでしょうか?
1とその数以外で割ることが出来ない、つまり以上割り切れない数字に分解することです。
24という文字があったら、3と8で割り切れます。3はこれ以上割り切れない
8は、2×2×2で分けられます。
まさに、MECEです。それぞれの要素を掛け合わせると24になるため、モレがありません。2が3つあるという事で、数字上はダブりですが…。要素としてはダブりがありません。
- 24という数字が、目的・一番上の概念です。
- 2・2・2・3という素数4つが、MECEに分けた要素です。
これと同じイメージで行います。
営業で100件獲得するという目的時
東エリアで50件、西エリアで50件獲得。
さらに、東・西それぞれを2つに分けて25件ずつ獲得という目標を立てたらMECEに分ける事が出来ます。
因数分解する時のポイントは2つです
- 最初の出発する目的・概要を洗い出す
- 素因数分解のように、モレなくダブりなく分解していく
- 最初の出発する目的・概要を洗い出す
数字の目標があれば、それが分解する元になります。
数字ではなく、考えなくてはいけない要素をMECEに分解していくときは、その要素の一番上の概念を設定します。
例えば、サイトの集客を改善するという場合は、「集客方法」が出発地点になります。 つまり、モレなくダブりなく洗い出すときは、検索流入・SNS流入・広告流入など集客方法を出していきます。 - 素因数分解のように、モレなくダブりなく分解していく
概念は、素因数分解のように分解していくことです。
ただし、「素数で割りましょう!」というような定義がありません。
営業の場合、エリア別・顧客ランク別・顧客種別・営業方法など様々な角度から分析することが出来てしまいます。
どれが正解かは、ケースバイケースですが、ポイントは、施策を行った結果を分析する時に、「それぞれの要素同士が重なりあって、どっちが良かったか分からない」とならないように、分ける事です。
時系列でMECEに分ける
商品を作るとき、材料仕入から検品まであります。
これらは、繋がった業務です。どこかが悪いと、それ以降の内容も悪くなるというように影響を受けます。
このような場合は、時系列で分けていく事が大切です。
例えばモーニングルーティーン
- 服を着替える
- 顔を洗う
- ご飯を食べる
- 歯を磨く
- 出発準備をする
など、順序だてて行う事を分けていく事ができます。
マーケティングにおいては、AIDMAの法則・プロダクトライフサイクルなどがMECEに分けられたフレームワークです。
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MECEで分析した後はどうする?
使い方によりますが、MECEで分析した時は、2段階で活用していきます。
- それぞれの要素の、理想と現状を理解する
- 優先度をつける
それぞれの要素の、理想と現状を理解する
例えば、営業で獲得数をアップさせるために、エリア別の獲得数を出したとします。
分解した1つのエリアごとに、良い状態か、改善ありか、悪い状況かなどを判別できると、戦略を練りやすくなりますので、1つ1つの理想(目標値)と現状がどのぐらい乖離しているのかを確認します。
具体的には以下の点を見ることで、現状を把握する事が出来ます。
- どのぐらいの獲得数があるのか
- どのぐらいのアプロ―チできる顧客がいるのか
- エリアの獲得率はどのぐらいなのか
全てのエリアから平均値や、本当は獲得したい目標値があれば、それを元にどれぐらい乖離があるかを判断します。
例えば、すべてのエリアの獲得率平均が50%の場合、Aエリアは80%獲得できていたら、平均以上の好成績の状態という事です。
反対に、30%しか獲得できていないという場合は、平均より劣っているため、改善できるかもしれません。
このように、現状を理解し、理想(目標)と、どのぐらい乖離があるかを判断します。
各要素の状況を踏まえて、優先度をつける
それぞれの要素での、ギャップを見ることができたら、どこから対処していくかです。
営業では、すべてのエリアに十分な人員があれば、それぞれに対策が可能かもしれません。
しかし、多くの場合は人数が限られていて、どこかのエリアを重点的に行うなら、どこかのエリアは対応がおろそかになるという事があると思います。
その為、ここまでだして要素ごとの目標と現状のギャップをみて、獲得率が低い所を重点的に行うか、既に獲得率が高い所にたいして更に率を高めていくのか、優先順位をつけます。
優先順位の付け方はケースバイケースなので、必ずしも獲得率が低い方を行うということではありません。
本来の目標である獲得数(売上)を高めていくために、一番効率的にできる所を優先的に行います。
他にも使えるMECEのケース
競合分析の時のケース
競合分析を行う際は、モレなくダブりなく調べたいですよね。
その為、競合を分析するための指標をMECEで分解します。 売上、客単価、購入頻度などで分けることもできます。
マニュアルの作成、デジタル化
RPAやSFAという、営業や業務を自動化するツールが世の中に出てきています。
これらを導入する時には、マニュアル化・現在の仕事の棚卸が重要です。
マニュアル化をしていくためには、時系列にそってモレなくダブりなく業務を洗い出す必要があります。
- エクセルを複製する
- 開く
- ○○を編集する
- PDF化する
といったように、手順を細かくモレなく出す必要があります。
ビジネスフレームワークで活用する
王道ですが、SWOT分析・3C分析、PEST分析などなど、戦略を狙う上で欠かせない、ビジネスフレームワークを使う時にはモレなくダブりなく調査することを求められます。
その時には、MECEを使いましょう。
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さいごに
MECE自体の概念は、非常に簡単だと思います。
だたし、しっかりモレなくダブりなく分ける事、そして分けた後、目的に沿って計画的に進めていく事が重要です。
ぜひ、実践してダブりなくモレのないスマートな戦略でいろいろ取り組んでみてください。